付き合ってもうすぐ1ヶ月が経とうとしている

今は、先輩とモールデート中。

お揃いのパーカーを買いにきた。

今、先輩が私の分まで買ってくれてる

私は、お店の外で先輩が出てくるのを待っている

「美空?」

ん?…ああ

「一星(いっせい)兄」

私のお兄ちゃん

買い物中だったのかな

「何してるの?」
「沙笑(さえ)の誕プレ買おうかと思って」

沙笑ちゃんは一星兄と中3の時から付き合っている可愛い女の子。

そういや、誕生日が5月だって言ってたような…

「何買うの?」
「考え中。何がいいと思う?」

うーん。沙笑ちゃんは可愛いが、似合うし…

「もうちょっと考えていい?また、メッセージ送るよ」

「ガチ?あり「おい!」」

一星兄の言葉を遮ったのはお会計を済ませた先輩だった。

「オレの彼女になんか用?」

ナンパかと、思ったのかな…

「はっ?美空彼氏できたの?…てか、君。オレは美空の兄の一星」
「そうなんすか?まじですみません。」

どっちも驚いている

「赤羽弾です」
「じゃあ、赤羽くん、美空のことよろしくな。…美空も、そろそろな」
「…うん、また」

一星兄が去って行った

「パーカーありがとうございます」
「うん。…美空」
「ん?」

どうしたのかな

「さっきの…何?そろそろって。表情が一気に暗くなったから」

ギクッ

言った方がいいかな


「言いたくなかったら言わなくていいよ」
「でも、聞いてほしい。…場所変えよ」




それから私の部屋に来て、ソファに座る。

深呼吸して話し始める。

「私の家族…親について。お父さんは死んでしまいました私が産まれる前に病院に、来てる途中で、事故にあって。…、お母さんはそのことが原因で精神病になってしまいました」

思い出したくない

手が震えるし、涙が出るし…

ガシ

私の手を大きな先輩の手で包み込んでくれる

「小さい頃から「お前が居なかったらお父さんは生きてた。返してくれ」って。何回も何回も私を殺そうとしてきました。その度にお兄ちゃんや祖父母が助けてくれました」

私の髪を引っ張って罵声を浴びせてきた日。

浴槽の水に顔をつけられた日。

ナイフを向けてきた日。

いつもギリギリのところで助けられた。

今ではこんなにも素敵な世界があるって知った。

…けど、あの時は殺して欲しかった

傷つくのがイヤだったから

「それで、お母さんは施設に入りました。それから関わることはありませんでした。…さっき、一星兄が言っていたのは…2年ぐらい前に一星兄がいつものようにお母さんの様子を見に行った時にお母さんが「美空はどうしてる?合わせて欲しい」って言ったらしくて。けど、私はあの時のことを許してないし、会いたくないからずっと避けていました。一星兄は「そろそろ会ってやってくれ」って、伝えようとしたんだと思います」

私もどうしたらいいのか分からない

「話してくれてありがとう。オレも…お母さんに会った方がいいと思う」

泣きながらそう言った先輩。

無理に会わなくてもいいよってら言ってくれると思ってたから驚いた…

それに、なんで泣いてるの?

「実は、オレに親はいない。高一になる前に2人とも事故で死んだ。そん時、反抗期だったからうるさいヤツが居なくなって心底嬉しかった。サイテーだろ?あの日、オレは家を出てった。いつもの事なのに探しに出たらしい。その途中に事故にあった。だいぶ経ってから後悔した。オレみたいな後悔はしないで欲しい」

そうだったんだ…

「オレも2人の墓に行けてない。…行く時、着いてきて欲しい」
「うん。私も今すぐには行けないけど、先輩がいてくれると心強いです」



その後、泣きながら抱きしめあった

抱えているものをら打ち明けて、よりお互いが大切になった