「次は□□駅、□□駅です。お降りの際は————————」

電車が止まると扉が開く。

何人かが降りて行ってまた、入れ替わりに何人かが入ってくる。

そして外の暑い空気も同時に入ってきて、なんだか夏を感じる。

そんな中、奥の方で何か聞こえた。

「翔、マジで女子と登校してたんだ」

しょう?

そう言った人は他の人をかき分けて、こちらへとやってくる。

「なんできたんだよ」

私の隣にいる彼が返事をする。友達なのだろうか。

私と話す時とは違う、友達との会話。

この人、翔って言うんだ。

今になって初めて知った。

「だって気になるじゃん お前モテるのになかなか彼女作らないし そんなお前が女の子と登校なんて」

彼の友達らしき人は、寂しげに首を傾げて、目を閉じていた。

「もういいって」