見上げる私の前には高層マンションが建っていた。


何となく察しがついて、どうしようかと迷っていると


♪~~~~~

着信-涼太


なんというタイミングなのか、涼太くんから電話が来た。


少し出るのをためらって、意を決して画面をスライドする。


「もしもし。」

「あ、芽依ちゃん?そろそろ着いた?」

「うん、でもここって―――」

言い終わる前に

「10××号室。インターホン鳴らして。」

涼太くんはそう言って、電話はプツリと切れてしまった。


10××…。

言われた数字と呼び出しのボタンを押す。