出会った彼は


いつものバーテンダーさんが話しかけてくれる。

「あ、はい。なかなか忙しくて来られなかったんです。」

本当に、数回しか来ていないのによく覚えているな…。と感心していると

「ごめん芽依ちゃん、急用できちゃって。これ、タクシー代とここの代金!」

すごく焦った様子の隆也さんが私にお金を渡そうとする。


「え、いやいらないよ。」

お金をグイっと押し返すと

「いいから!ほんとごめん!また連絡する!」

と言って足早にお店を去ってしまった。


「何かお作りしますか?」

私のグラスが開いていることに気付き、バーテンダーさんが声を掛ける。

「あ、じゃあおすすめで。」

「かしこまりました。」

ここはおすすめを頼めば間違いないし、最近仕事頑張っていたご褒美としてもう少し飲んでから帰ることにした。


時たまバーテンダーさんが話し相手をしてくれて、それ以外はぼーっとお酒を飲んでいるとドサッと横に誰かが座った。