出会った彼は


VIPルームの扉を開けて、バーの扉へ向かう。


最後、涼太くんがどんな顔をしていたのかは分からない。

涼太くんが大事と言ってくれた。好きだと言ってくれた。応えられなくてごめんなさい。


私もできることなら、涼太くんの側に居たかった。

だけど、人気が左右するお仕事だから。


私じゃなくてもっと隣に居ても誰も文句を言わないような人と幸せになってほしい。


私は涼太くんとの思い出だけがあればそれで十分だと言い聞かせた。


そして、涼太くんのことが今でも大好きだという気持ちはそっと胸にしまった。

バーを出て、少し歩くと涙がポロポロ溢れてくる。


あの日から、生きた心地がしなくて。涙も出なかった。


だけど、自分の口で伝えた今言葉にならない気持ちが涙となって溢れてくる。




幸せになってね。涼太くん。さようなら。