向こうは私が近付いていることに気がつかないのか、まったく動かない。

どんどん近付いていくにしたがい鼓動が大きくなるような気がした。

着ている服はやっぱりうちの学校の制服……この子……裸足だ。


やっぱりおかしい……

でも止まらない。まるで誰かに動かされてるみたいに。

近付くたびに胸が圧迫されるような感覚がして、息遣いすら荒くなる。

しかし、あと二三歩で触れられるくらい近付いても女の子は振り向かない。


「ね……ねえ」

私は絞り出すように声をかけた。

このときになって喉がからからに渇いていることに気がついた。

「なにしてるの……?」

私の声が聞こえないように、反応はゼロだった。

依然として黙って背を向けたまま。

「こちらに振り向かせよう」

私の頭にそんなことが浮かんだ。


薄気味悪いけど、このままではもっと気持ち悪い。

それにこの前だって普通の人だった……

今回だって……


そう思いながら肩を叩くべく、手を伸ばした。