「ありがとうございました。武藤さん。」

私はいつも通り武藤さんに学校に送ってもらい、校門の前まで来ていた。

「行ってらっしゃいませ。美羽お嬢様。」

「もう!毎日言ってるけどお嬢様は恥ずかしいです!」

「ですが…」

「普通に美羽とお呼びください。」

「分かりました。では行ってらっしゃいませ美羽様。」

様…まあお嬢様はよりは全然いいかな。

「ありがとうございます。」

サザー

寒いね。ちょっと冷えてきたかな?

「おっはよー!mybestフレンド美羽。」

「わっ!びっくりした!おはよう。楓ちゃん。」

「にしても、寒いねぇ。この前まで夏だったくない?」

「ほんとにね、今日は特に冷え込むらしいよ。」

「うそー。めんどくさ。」

「ふふ。もう、楓ちゃん。誰に文句言ってるの?」

「気温。」

ふふ。相変わらず楓ちゃんはおもしろいね。

「あ、そーだ美羽。」

「うん、どうしたの?」

「ごめん、私明日、用事あって学校休む。」

「そ…なんだ。」

そっ…か。明日楓ちゃんいないんだ。寂しいな。

「ん~~もうっ!そんな寂しそうな顔しないでよ!あー、明日学校行きたいー!」

「だ、ダメだよ。用事だもん。仕方ないよ。」

「はあ、まじパパ嫌い。」

「あはは…」

「あ、そうだ楓ちゃん。今日提出の国語の作文終わった?」

「…国語の作文…?」

あ…この感じもしかして、

「終わってない?」

「やばーい!やばい、どうしよう!またせんせー怒るんだけど!」

「て、手伝うから一緒にやろう。」

「ほんとー?あー、やっぱり持つべきものは友だよね。」

キャー

え?

悲鳴?

どうしたのかな?

「うわー、ねぇ見て美羽。」

「?あの人って…。」

「そ、私達のパイセンの喜多川拓夜。」

「喜多川拓夜…?」

「そ、あいつに落ちない女はいないって言われてる憂ヶ丘の絶対王子。」

お、落ちない女はいない…?

「すごい人なんだね。」

「ねぇ!君たち!拓夜君に興味が湧いたならうちのファンクラブに入らない?」

「ひゃあ!へっ?ど、どちら様ですか?」

「ま、可愛い。私は柊木裕子。よろしくね〜。」

「柊木先輩ですね、よろしくお願いします。」

「裕子せんぱーい、よろしくでーす。」

「ふーん、君は確か前沢楓だったっけ?」

「えー、そうですよ。なにか?」

「今からこの子と話したいんだけどさ。」

「二人でですか?」

「そ、」

「えー、嫌です。」

「なんで?」

「だって、今まで美羽と二人っきりになろうとしたやつは大体変なこと考えてるもん。」

「なっ!」

「楓ちゃん!それはないよ。みんな優しいよ?」

「み、美羽?」

「ありがとう、楓ちゃん。私は大丈夫だから。」

「でも…」

「霧崎さんが大丈夫って言ってるんだから大丈夫でしょ?」

「…分かったわよ。なるべく早く戻ってきてね。美羽。」

「うん。もちろん!」

「はぁ…やっと霧崎さんと二人っきりになれた。」

「あの…それで私になんのようですか?」

「急で悪いんだけど、あんた…退学して。」

「え?」

な、何を言っているの…?柊木先輩は…。

「なん…で?」

「だって、あなたウザいもの。」

う、ざい?

「あんたばっかりモテやがって!あんたが来るまでは私が一番だったのに!あんたさえいなければ拓夜様の一番は私だったのに!あんたさえいなければ!あんたさえっ!」

「そ、んな…私…そんな…え?」

「ってことであんた達こいつ犯していいよ。ずーっとやりたかったんでしょ?黄金の姫君と。」

「へっ、まさかホントにやれるとはなぁ。プリンセスと。」

「柊木ぃ〜感謝してるぜ?こんな機会なかなかねぇ~しな。」

「い、いやぁ。離して…!」

「そんな事言うなよぉ!大丈夫だよぉ?すぐに気持ちよくなれるから。」

「そんな…ダメっ!」

ど、どこを触ってるの!?

そこはっ!ダメっ!

「ひやぁ!あんっ!ダメぇん!」

「声まで可愛いなんて〜最高ぉだねぇ。」

「だ、だれか助けっ!」

「霧崎さん?大丈夫?」

えっ?この声って?

「おい!誰だよテメェ!」

「僕?僕は喜多川拓夜。ここの二年生。君たちは?」

「き、喜多川!俺はお前らにムカついてんだよ!」

「ムカついてる?」

「当たり前だ!お前がモテすぎるせいで!」

「はあ、あたりめぇだろ?お前らじゃあ俺と比べる価値もねぇーよ。」

「は?」

「いいから雑魚は引っ込んでろ。」

「ヒィ!」

「終わった〜?」

「あ?」

「えっ、ちょ、拓夜様?どうしてここに?」

「あ?誰だよテメェ?」

「え?私ですよ?私、柊木裕子ですっ!」

「柊木裕子…知らねえな。」

「えっ?そんな…」

「そうですよ!こいつに、言われたんです!霧崎美羽を犯せって!」

「へぇ、こいつに…ね。」

「ち、違います!私がそんなこと…」

「弁解はいい。とりあえずお前らは退学だ。俺から服部理事長に報告しておく。じゃあな。」

「そ、そんな!お待ちを!」

「去れって言ってんだよ。」

「は、はい!」

そんな…っ!

「ねぇ、大丈夫?」

えっ?本当にさっきの人なの?まるで別人…

「あ、ありがとうございます…。あのっ、あなたは?」

「ああ、僕?僕は喜多川拓夜。えーと確か君は…」

「わ、私は霧崎美羽。あ、あの…あなたは一体…」

「気になる?」

えっ!?

「それはまあ。お、教えてくれないのですか…?」

「んー、そうだね。可愛いから教えてあげる。俺は…」

「おい、テメェ!誰の女に手を出してんだよ!」

「は?」

「えっ?彪牙くん?どうして?」

「いや、お前がなかなか戻って来ないって楓が言ってたから。さ、」

「彪牙?」

「あぁ゙?誰だよ?ってまさかお前…あの。」


「しー、内緒ね。じゃあまたね。霧崎さん。」

「あ!ちょっと待って喜多川先輩っ!」

「また会おうね。」

「お願いっ!」

ギュッ

「えっ?霧崎さん?何を?」

えっ?まさか私…抱きついた?喜多川先輩にっ?

「へ?あっ!ごめんなさい!」

「全く…」

あ、呆れられたっ?

「ご…めんなさい…。」

「あ~、ごめん。泣かせるつもりはなかったんだ。どうしたの?」

「本当ににごめんなさい。でも今…喜多川先輩と話しておかないと…もう二度と話せないような、そんな気が…。」

「可愛いことをいうね。じゃあ僕とメアド交換しよう。そしたらまた会えるよ?」

「ほんと?」

「うん、約束するよ。」

「〜!うん!ありがとう!喜多川先輩!」

「いーえ、またね。」

「はいっ!」

やったぁ!これでまた喜多川先輩に会える。

「おい、美羽。」

「!?な、なーに?彪牙くん?」

「お前…あいつと仲いいのか…?」

「彪牙くん?」

どう…したのかな?

「いや…何でもない。」

?変な彪牙くん。