私がしゅんくんと結婚して18年がたった。

早かったような遅かったような年だった。

そして、私達は二人の子供を授かった。


名前は、長男の拓夜と…………。


長女の花織。

二人の年の差は二つ。

いつも一緒ですごく仲良い兄弟だった。

拓夜は、穏やかで、強くて優しい子。

そして…花織は、大人っぽくて、いつも人のことばっかり考えている…優しい子。


そんなある日…、


事件が起こった。


その日は、いつも通り朝ご飯を作り、花織と拓夜を起こして学校に行かせた。

そして…事件が起こった。


花織の誘拐事件…。

その日のことはよく覚えている。

掃除をしているとプルルプルルと電話がかかってきた。

私が、はい。と出ると

「お前の娘は預かった。返してほしければ100億用意しろ。いいな?」

と、一方的に告げられて電話は切られた。

私は始め、意味がわからず呆然としていた。

しかし、5分ほどしてやっと意味がわかり、私はどうすればいいか分からず泣き出した。

でも、それじゃあ花織が帰ってこないことが分かっていたので急いでしゅんくんに電話をした。

「あ…なた。どうしましょう…どうしましょう!」

「莉花…?どうしたの?何があったの?」

「どうしよう…花織がっ!花織がっ!」

「花織?」

「花織が誘拐されたの!」

「は?誘拐?どういうことなの?」

「説明できる?」

「ぅ゙ん。さっきね、電話があったの。花織を誘拐した。返してほしければ100億出せって…。どうしましょう、、」

「落ち着いて。まずは100億用意しないとだな。」

「そんな大金用意できるの…?」

「…。流石に頑張っても30億が限界だと思う。」

「そんな…!後70億…どうしよう…。」

「いや…一つだけ案がある。多分…いけると思う。」

「どうするの?」

「……。優羽さんに頼る。」

「あ!なるほど!優羽ちゃんなら…!」

つっ!でも…

「70億なんて大金…出してくれるかしら…、」

「…。とりあえず聞いてみよう。」

プップップッ、プルル、プルル

『はーい!どうしたの?莉花ちゃん。』

『あ、のね。優羽ちゃん。実はお願いがあって…。』

『お願い?』

『そう…。あのね…お金…。貸て欲しいの。』

『お金?』

『う、うん。実はっ!』

そこで私は泣き出してしまった。

『り、莉花ちゃん!?』

『じ、実は…か、花織が誘拐されたの…。花織が!』

『なっ!花織ちゃんが?』

『うん…そしたら犯人が100億用意しろって…』

『100億?』

『うん…私達じゃ30億が限界でっ!70億足りないのっ!』

『なるほどね。分かった。なんなら100億全て出そうか?』

『うんん…それは大丈夫。お願い!必ず返すから…花織をっ!』

『任せて、70億出すわ。』

『ぁ゙りがとぅ!』

『うん…。』

あの時、優羽ちゃんがお金出してくれなければ私は壊れていただろう。

私は現金で100億用意した。

しゅんくんも帰ってきてくれて、私の側にいてくれた。

プルルプルル

はっ!かかってきた。

「は、はい。」

「100億用意できたか?」

「はい。もちろんです。お願いします花織を返してください。」

「分かった、では、15時に京橋駅で。」

「わ、かった。」

「あなた…。」

「ああ、すぐに手配しよう。」

約束の15時

花織…。

「よお、喜多川グループの喜多川舜夜とその奥様?一体どうやって100億用意したのかい?流石に喜多川グループの権力を以てしても難しかっただろ?」

「それ、答える必要ある?」

「ぁ゙?娘を殺されたいのか?」

「しゅんくんっ!」

「ちっ、優羽さんに金を借りたんだよ。」

「へぇ、いくら?」

「…70億。」

「さっすが天下の一ノ瀬財閥の令嬢。流石だねぇ。」

「ああ、感謝してるよ。」

「そうか、じゃあ一ノ瀬と霧崎の子供を誘拐すればよかったかな?」

は?

「ふざけてるの?」

「ああ、わりぃわりぃ。」

「花織は!?花織はどこなの?」

「はあ…せっかちな美女だせ。」

「ほらよ。」

「花織っ!」

袋を投げられて掴んだ中には……花織がいた。

花織っ!

「大丈夫!?花織っ!」

「…お母さん?」

「花織!よかった!」

「花織…」

その時の花織の目は…虚ろだった。

花織…

それから、しばらく一緒に居たけど花織が元に戻ることはなかった。

そして…家出した。

花織が中学1年生のときだった。

突然のことすぎて私は理解ができなかった。

寝る間も惜しんで必死に探した…。

でも、見つからなかった。

あれから、もう六年もたっちゃった。

花織…いったいどこに?