「お、おじゃまします…。」

「そんな緊張すんなって。」

私は今霧崎くんの家に来ている。

橋本さんに手紙を出しといたし、大丈夫よね?

それにしても…

「おっきな家ねっ!」

「そうか?」

そ、そうかって…

「これは、一人暮らしするなら心配だからって母さんが持たせた、ただの家。」

「へ、へぇ…」

お金持ちなのかな?

お金持ち…私のお父さんの実家もお金持ちだった。

まあ、ヤクザなんだけどね。

喜多川グループっていう闇社会では有名らしい。

…もう私には関係のないことだけど…


「花織、上手ねぇ。」

「さすが俺の子だね。」

「私達の、でしょ♪。」

「ああ、そうだね。」

私の、父と母はすごく仲がいい。

昔に色々あったみたいだけど、今はそれを感じさせないほど…だしね。

でも、私は家出した。

「おい、大丈夫か?」

「って、ごめんっ!」

気づかなかった…考えこんでたしね…

もう、昔のことだし忘れなきゃ。

「ホントに大丈夫か?」

「ああ、ごめん。どうしたの?」

「あっ、ああ。荷物はそこの部屋に置いといて。そこが先輩の部屋だから。」

ここかぁ…!

ひっろーい!

ふふっ!

「ここが私の新しい家!前住んでたとこより全然キレイ!」

ガチャ

「どうやら気に入ってくれたみたいだな。」

「ふふ。うん!ありがとう!」

「…気に入ってくれたならよかった。」

「でも、わかってんのか?先輩かここに来たのは」

「…えぇ、分かってるわ。心配しないで。そっちの方も頑張るから。自慢じゃないけど経験だけはそこら辺の女に負けることはないわ。」

私は、なぜか少し悲しくなったのでカッコつけてそう言うと霧崎くんは不機嫌そうに、

「これから俺がいる時に他の男の話ししたら乱暴にするよ?」

ら、乱暴…

普通のときでさえあれだったんだから、霧崎くんの乱暴…

やばい予感しかしない…!

とりあえず謝っとこ。

「ご、ごめんなさい。次から気をつけます。」

これで、一安心だろう。

「は?何いってんの?今回のもカウントだよ?」

「え…?」

「ってことで」



「何を…?ひゃん!」

えっ!?嘘…私お姫様抱っこされてる?

「ど、どこへ?」

「は?寝室に決まってんじゃん。」

「そ、そうですよね…」

まだ、昼間なんだけどなぁ。

「さ、声を抑えること忘れないでね。わかった?」

そ、そうだった。私がここに来た目的!

「も、もちろんです。」

でも、自分で言っておいて出来るかなぁ…

今まで、一回もできたことないんだよなぁ。

まあ、練習あるのみって言うしね!

「それじゃあ、頑張ってね。」





あれから何時間経ったのだろう。

霧崎くんは乱暴と言いながら全然痛くなかった。

むしろ前回より気持ちいいくらいだった。

にしても。

「な、んで。あ、んな…にして、元気な、んですか?」

私、息ぎれして、死にそうっ!

「んー、なんでだろうな。そんなこと言われても昔からだし。」

む、昔から!?

…昔からたくさんしていたことかな?

なんか、複雑…

「って、先輩もそーとーだよ?」

え?

「だってあのコースしたのにまだ話せるなんて。」

「コース?」

「そ。今回のはその中でもきついはずなんだけどな。」



「す、すみません…?」

「…先輩、悪いと思ってないのに謝るのはやめてくんない?」

論破された。がーん。

「ご、ごめんね。」

ギロッ

「すみ、嫌。うん。」

危ない危ない。また謝るとこだった。

「うん、それでいーよ。先輩。」

つっ!ほんと…カッコいいよね。霧崎くんは…。

「あ、先輩。」

「?何?」

「演技は………不合格ね。」

そんなぁ〜。