私は朝比奈高校に通う高校三年生。

朝比奈高校とは北区にある高校で、東区の憂ヶ丘、南区の七草、西区の瀬十華と並ぶ不良校。

そこでの私の通り名は魅惑のクィーン。


「喜多川先輩ー!今日も、いいですか?」


「えー、今日も?」

「だって、喜多川先輩上手いじゃないですか。めっちゃ気持ちいいってみんな言ってますよ。」


「ほんと?嬉しい。いいよ。今日の9時くらいでいい?」


「はい!もちろんです。待ってます。」


「うん。」

この会話だけ聞いた人がいるならカレカノだと思い微笑ましくなるだろう。



だけど、それは違う。


私達が求めるのは体だけの関係。


ただ、それだけ。


私がこのことを始めるようになったのは中学一年生の時だった。


母と喧嘩をして家出をして困っていたところを助けてくれたのは橋本さんだった。


その橋本さんは風俗系の営業をしていて、住ませてもらう代わりに客をとることで今マンションに住めている。


だから、知らない人に初めてを奪われて以来こういう行為に関しては何も思わなくなった。


それに、私はお父さんとお母さん譲りの美貌を持っていると思う。


自分で言うなって思うかもしれない。



でも、昔から言われまくってたら嫌でも気づいてしまう。


そんな私を学校の女の子たちがが嫌うのも無理はないと思う。



でも、結構悲しいんだよ。ビッチ、ビッチって言われるのは…。


まあ、自分で撒いた種だし仕方ないよね。


「ねぇ、あんたが喜多川先輩?」


ん?



「えーと、そうよ。」


キャー、キャー


ん?周りがいつもより騒がしい?



どうしたんだろう?ってあれ?



なんか、見たことある顔してる。


「ねぇ、ねぇ、蓮斗くんっ!そんな女に何のようなの?あいつはビッチだから蓮斗くんの好みじゃないよ!」



蓮斗…、あっ!!思い出した。


えーと、確か去年入ってきためっちゃカッコイイ二年生の霧崎蓮斗くん…?だったっけ?



「知ってる。こいつ俺の好みじゃねーし。」



「だよね。」


「でも、それがなんでお前らに関係あるんだよ。」



「えっ?」



「だーかーら、なんで俺の好みじゃない女に話しかけたらいけねぇーんだよ。」


「そ、それは。」


「わかったら、早くどいてくんない?」


「す、すみませんでした。」


こ、怖…なんなのこの人!



「それで、あんたが喜多川花織だな?」


もう!なんで先輩にタメ口なの!


だから、口が悪くなるのは許してよね。



「なーに?」



「ちっ、ちょっと来い。」


はあ!?初対面でなんなの?



反発しよ。



「嫌です。」


「は?お前に拒否権なんかあるわけねぇーだろ。」


なんで!?



「えっ?なんで?」

 
すると彼は私の耳に顔を近づけ、



「だって、お前…風俗の仕事してんだろ?学校に内緒で。」


へっ?どうしてそれを…?



「なんで…、どうして…?」



「ふ、やっぱりな。分かったら俺についてこい。」


それを脅しの材料にされたら従わないわけにはいかない。


「わ、かった…。」


私の学校生活…大丈夫かな?