今日は待ちに待った湊斗くんとのデートの日


ほんとは今日、湊斗くんとデートできないと思ってたけど私が嶺岡様とお会いする約束をしたらお父様に許可はもらえた。



んー、ちょっと早くつきすぎたかな


重たい女って思われたらどうしよう…


はあ…いくら楽しみだったからって…


うぅ…



「あれ?羽住さん?」


「み、湊斗くん!」



「どうしたの?早いね。」


やっぱりそう思うよね…

「ご、ごめんね。重かったよね。」


「んーん。全然大丈夫。俺も羽住さんといれる時間が長くなって嬉しいし。」


「なっ!急にどうしたの?びっくりしたよ!」


「ふふ。ほんとのことだよ」



「も!湊斗くんなんて嫌いっ!」



「そんな顔で怒っても怖くないよ?」


「は、早く行こうよ!ど、どこに行く?」

「んー、羽住さんはご飯食べてきた?」


「うんん。まだだよ。」


「じゃあオススメの店があるんだ。一緒に行かない?」


「行く!」


「よかった。」


「それにしても私服の羽住さん、とっても可愛いよ。」


「そ、そうかな…?」


「うん。俺の好みだよ。」


「もう!湊斗くん!おしゃべりダメ!恥ずかしくて死んじゃうよぉ!」


「んー、羽住さんの恥ずかしがってる顔が見れるんだったらたくさん話そうかな。」


「み、湊斗くんの意地悪っ!」


「はは。そうかな?」


「そうだよ!やっぱり……慣れてる?」



「え?んー、慣れて…るけど」


「つっ。」


「でも羽住さんは特別だよ?」


「えっ…?そうなの?」


「うん。ねぇ、羽住さん。俺のことを信用して教えてほしい。」


「え?何を?」


「君の本当の名前は何?」



「!?」


「………気づいていたの…?」



「当たり前だよ?それともバレてないと思った?」


「じゃあもしかして湊斗くんが私とデートしようって言ってくれたのは一ノ瀬財閥にとり入るため…?」


「は?ちげーよ。」


「え?」



口調がまた変わった



「は?まさか……おまえ…忘れたのか?俺のこと、」


「え?覚えてるよ。パーティー以来だね!久しぶり!覚えててくれて嬉しい!」


「は?本当にその時以来か?」


どうしちゃったの?

「うん。」


「…そ…っか。」


湊斗くん…?


「あっれ〜?」


「え?」


「これはこれは蘭穿のNo.2の霧崎湊斗、いや銀狼ではないですか〜。こんなところで何を?」


「誰だよてめぇ。」


「酷いなぁ、忘れちゃったんですか?俺ですよ俺。」


「だから誰だよ。」


「ルーゼの組員。」



「ルーゼ!?」



「おお!びっくりしてる!ま、そりゃそーだよね。そーだよ確かに前組長は死んだ。でもまだ手足は死んでねぇーんだよ。」


「じゃあ改めて宣戦布告するぜ!俺等は蘭穿をぶっ潰す。」


「やれるもんならやってみろや。ゴミクズが。」


「言ってくれるねぇ。ってあれぇ?隣の女ってまさかお前の女?」


「ちげーよ。かんじがいすんな。」


「ほんとかな〜?君がここまで自然体だなんて、特別な女じゃないかと思うよ。」


「だから、ちげーって。」



「まあ、合ってるかあってないかは置いといてとりあえず報告はしとく。じゃぁね。銀狼。」



「おい!まてや!」


「み、湊斗くん…?」

いったいあの人は誰……?



「はっ!ご、ごめんね。ボケーっとしてた。」


「ねぇ、湊斗くん…あの人は…?ルーゼって」


「羽住さん…。ごめん。俺のせいで…」


「え…?湊斗くん?どうしたの?大丈夫?」


「あいつ、かんじがいしてるみたい。羽住さんが俺の女だって…」


「わ、わたしが湊斗くんの女!?」

「うん…ごめんね…」

「うんん。それは大丈夫だけど…どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?」


「……俺の女だって幹部に報告されたら恐らく羽住さんはルーゼに狙われる。莉花と同じだ。」


「え?」

莉花と同じって…


莉花ちゃんは喜多川くんの彼女ってだけでルーゼに散々狙われてひどい目にも合ってた…


「ごめん…ほんとに…俺がもうちょっと警戒してたら…いやそもそも俺と一緒にいることがダメなんだろうな。」


「湊斗くん。そんなに自分を追い込まないで。それに湊斗くんに話しかけたのは私。大丈夫!私ならなんとでもなるよ!」


「そんなわけねぇよ。莉花を見てただろ?あいつらは組まで動かせるんだぞ?」


「まあ、それは怖いけど…私普段は学校以外家から出ないから!大丈夫だよ!」


「羽住さん…」


「ねぇ、羽住さん。お前俺の女になら…」


「ちょっと君?僕の婚約者に何を言おうとしたのかな?」


「は?」


待って…この声って…


「嶺岡様…」


「ダメじゃないか、優羽。僕の許可なしに外出したら。」


どうしてこのタイミングで会っちゃうんだろう。

「申し訳ございません。嶺岡様。」

「みねおか…」


「ところで君は確か霧崎グループの人だったよね?」


「ああ。」

なんだろう、すごく嫌な感じがする…


「僕の婚約者に手を出してただで済むと思うなよ。明日になればお前の家は潰れてるよ。なんせお前は僕の怒りを買ったからね。」


「お待ち下さい!嶺岡様!湊斗くんは悪くないんです。それに約束を破ったのは私です。湊斗くんは関係ありません。彼に手をお出しになるのはやめてください。」

「優羽…君には失望したよ。君まであいつの味方をするんだ。君には少し厳しいお仕置きが必要なようだね。」


「つっ!」


お仕置き…それが何を意味するかは言われなくても分かる…


抱きたおされる…一晩中…いや。


嶺岡様が満足いくまで…ひたすらイカされる

だから嶺岡様の今までの婚約者は全員壊れた。

いや、壊された。もう普通に生きていけないくらいに。

「待てよ。優羽は何も悪くねぇよ。ただ俺が無理やり誘っただけだ。だから優羽には手を出すな。」


「へぇ、たかが霧崎のくせに僕に指図するんだ。」

「別にいいだろ?俺らは同じ人間だし?」

「いいや、僕らは次元が違う。」


「はっ!言ってることがわからねぇな。」

「じゃあ、分かるまでいたぶってやるよ。お前の妹を…な。」

「は?…お前…まさか柚葉に手を出したのか?」

「いーや、僕がその気になれば柚葉なんていつでも壊せるんだよ?」

「笑わせんな。柚葉にも羽住さんにも手は出させねぇーよ。」

「ほんと君って欲張りだね。」


「まあ、いいや。今日はこのくらいにしてあげる。」


「さ、帰ろう。優羽。」

い、いや…帰ったら間違いなく壊される!


でも…


「…分かりました。」


「待てよ、羽住さん。お前はそいつと一緒に居たいのか?」


「えっ…?」

「君は何をいっているんだ?優羽は僕と居たいに決まっているだろう?」

「お前は黙ってろ。俺は羽住さんに聞いているんだ。」

「どうなんだ……優羽。」


つっ!

「わ、私は…」


ほんとは私だって湊斗くんと一緒に居たい、


このまま嶺岡様に壊されるのは嫌だっ!

「湊斗くんがいい…」

「ふ!だったらもうお前は俺のもんだ。」

ギュッ


え?

今、私お姫様抱っこされてる…?


「ちょっ、ゆ」

「じゃあな。み、ね、おかくん?」

「ちっ、てめぇ覚えてろ。クソが。」

「み、湊斗くん!」

「ん?どうしたの?」

「あんなこと言って大丈夫なの?お家、なくなったりしない?」

「こんなことじゃなくならねぇよ。俺らはヤクザだぜ?そんな簡単にやられねぇーよ。」

「ほんと?」

「ああ。」