「みーなとっ!だーい好き!ちゅーして?」

あぁ、気持ち悪ぃ。

でも、俺が瑠奈の言う事聞かないと父さんや母さんに迷惑がかかるから…ちっ、めんどくせーな。

「いいよ。どこにする?」

あーあ、自分のことながらどこからそんな声が出るのやら。

「るなのくちびるっ!」

「はいはい。」

チュ

「みなとぉだーいすきだよ?」

「うん、俺も。」

「ふふ。」

気持ち悪ぃ…。

「ねぇ、みなとー?」

「ん?なーに?」

「これからはるな以外の女の子と二人きり禁止だよ?」

は?

「ん?どうして?」

「どうしてって…みなとはるなのだもん!」

ちげーよ。

「でも、流石にそれは…無理かな」

「グスッ、みなとはるなのお願い聞いてくれないの…?」

なにがグスッだよ、

「でも…」

「パパに言っちゃうもん、みなとが言うこと聞いてくれないって、」

やべ…

「わかった、わかったからね?」

「ほんと?」

「うん、もちろん。」

ギュー

はあ、まじめんどくせー

それより、羽住咲夜夏…か

今週の土曜日にMIRACLEモール………

もし、俺の予感が当たってるならあいつは、六ね、

「ねぇ、みなとぉ。今週の土曜日るなのお家に来てー!」

は?

「えっ?」

「もぉ!ダメなの?」

「うん…ごめんね今週の土曜日はちょっと…」

「なんでー?また舜夜たちと遊ぶの?」

「うん。」

やば、後で舜夜に連絡しとかなきゃ

「ふぅーん。またあいつか。そろそろうぜーな。」

は?今コイツなんて…?

「…、瑠奈。舜夜に手…出したら許さないよ?」

「はっ!ごめんぅ!もう言わないからゆるしてぇ」

「ううん、俺こそごめんね。」

ざっけんな舜夜に手を出せば殺すぞ?

ガチャ

「瑠奈様。そろそろお休みの時間です。」

「えーもぉ?はやくない?」

うっしゃラッキー!

「ほら、瑠奈グズらないで。また!明日会えるよ」

「うん…またね、湊斗…。」

はあ、やっと寝たよ。

カチッ

俺のラインの一番上にある名前、

羽住咲夜夏

俺が六年前に心を奪われた相手に似てるやつ。

あれは確か、

六年前に出席したパーティのことだった、

「本日は一ノ瀬財閥生誕80周年記念オープンパーティーにお集まりくださりまことにありがとうございます。代表あいさつとして社長の一ノ瀬大樹様のお言葉をお願いします。」

「えー、本日は我が社の…」

ああーめんどくせー

今日は親父がどうしてもっていうから来たけど、


まじ、ダルい

はやく終わんねーかな

「あ、あの!お手洗いってどこにあるかわかる…?」

は?

誰?こいつ、

俺が無言をつらぬいていると、その女は

「ご、ごめんね。迷惑だったよね。あ!あのケーキ美味しいから食べてみてね。ほんとごめんね。じゃあね。」

と言ってどこかに行ってしまった。

そして、その後一ノ瀬家の紹介があって、初めてあいつが一ノ瀬財閥の長女の一ノ瀬優羽だと知った。

あいつ、自分のパーティーなのにトイレの場所もわからなかったのか?

しかもなんで俺に?

でも、俺は周りを見て気づいた。

俺の周りには大人の男ばかりだった。

女もいるにいるが全員一ノ瀬財閥に取り入ろうと必死だった。

あーなるほどね。だからあいつ、俺に。

なんか、悪いことしちまったな。

でも、もうどうしようもできないし仕方ねーよな。

ん?あれってさっきのやつ…?

もしかしてまだ迷っているのか?

しかたねぇーな。

「おい、お前。」

「へぇ!?あ!さっきの方です…よね?」

「そ、トイレ探してんだろ付き合ってやるよ。」

「ほ、ほんとですか…?」

「俺は嘘なんかつかねぇし。」

俺がそういうとその女は心底嬉しそうな顔して、

俺に何回もお礼を言っていた。

「あ、あの。あなたのお名前は?」

「ああ、俺?俺は霧崎湊斗。お前は?」

「私は一ノ瀬優羽。よろしくお願いします。」

「よろしく。」

「っていうかお前、ここの財閥の令嬢なんだろ?執事やメイドにでも聞けばいいじゃねーか。」

「そ、そうだよね。ごめんね。」

「いや、まてまて。俺は別に謝ってほしいわけじゃない。なにか理由があんだろ?」

だって普通執事が令嬢に対して気まずいのはわかるけど、逆はねーよな。

「う、うん。まあね。」

「別に無理に言えとは言わねぇけど無理すんなよ?」

「う、うん。ありがとう。」

そのおん…優羽は顔を赤くして頷いた、

可愛い。俺は率直にそう思った。

今まで興味なかったから顔なんて見てなかったけど多分優羽めちゃくちゃ顔がいい。

まあ、一ノ瀬のやつらも全員顔がいいっちゃいいけどやっぱり優羽は別格だった。

綺麗で長い金髪に小さい顔、それにスタイルも最上級だろうな。

まあ、多分こいつとはこれっきりだし別にどうでもいいけど。

「あ、あの霧崎さん?」

「湊斗でいーよ。」

「み、湊斗くんっ。」

かわいー。ヤバ、こいつまじ可愛い。

「なに?」

「も、もしよかったら私と一緒に踊りませんか…?」

「は?」

いやいや、財閥の令嬢が俺なんかと踊っていいのか?ふつー。


「いやでも俺、全然財閥とかじゃないし。親に怒られんじゃねーの?」

「……そうかも。」

「だろ?だったら優羽も俺なんかと踊らずにほかのや…」

「でも私は湊斗くんと踊りたいの!」

「……。」

「ダメですか…?」

「ちっ、いいけど。俺のせいで怒られたとかなしだぜ?」

「は、はい!ありがとうございますっ!」

「はあ。でも優羽お前もうちょっと危機感持てよ。」

「危機感ですか?」

「ああ。このままじゃすぐお持ち帰りされちゃうぜ?」

「そ、そうなんですか…」

ってあれ?なんで俺優羽に今違和感持ったんだ?


俺は優羽に今すごく親近感湧いた。
 
そして、気付いた。

「なあ、優羽俺と同類だろ」

「同類ですか…?」

「ああ。2つの顔を持ってるだろ?」

「……、」

「別に隠さなくていいぜ。俺も普段は、」

「一ノ瀬さん。今日はご招待ありがとうございます。とても楽しいです。」

「!?」

「そ、驚いただろ?いつもはこんなんだぜ。」

「そう…。なんだあんたも私と同類だったなんてねね。はあ、無駄な体力消費した。結構疲れるのよ?これ。」

やっぱり優羽も俺と一緒か。


「それは同感。まじダルいよなこのゴッコ。だから俺の前では素でいいんだぜ。」

「言われなくてもそうするわよ。で?私の二重人格に気づいてどうするの?それを大声で言う?」

はは!こいつおもしれーな。

「言わねぇよ。でも、そうだな。じゃあ一回俺とデートしよーぜ。」

「はあ?デート、なんで?」

「いいじゃねーか。そんな硬いこというなよ。」

「ちっ、仕方ないわね。」


「いいわよ。いつ?いまから?」

「んー、明日。明日の十時に秋葉原、ど?」

「はいはい。わかった。遅れないでよね?」

「さあ、どうかな?」

「ふざけてんの?」

「ジョーダン。ジョークジョーク。」

「はあ、うざい。」

「あ!ひでぇ!」

はは。まじおもろいこいつ。さっきと全然違う。

明日は最高の一日になりそうだ。