やばい…やばい…やばいよ。

絶対大事になってる…どうしようっ。

あっ!谷口さんの車。

「谷口さんっ。遅くなりました。」

「つっ!お嬢様!」

谷口さん、誰かと電話してる…もしかして…

「も、申し訳ありません。旦那様。優羽お嬢様は今戻ってこられましたのですぐに帰宅いたします。はい、はい了解いたしました。」

「た、谷口さん…?」

「お嬢様っ!あれほど時間に遅れてはダメと言いましたよね?」

「ご、ごめんなさい…あ、あのお父様はなんと?」

「はい。帰ってきたらすぐに旦那様のところに行くようにだそうです。」

はあ。最悪。また、今日はアザが増えるなぁ。

「わかりました。ご迷惑おかけしました。」

私がそう言うと谷口さんは何も言わずに車に入って

いった。

もう、最悪だよ…

ピコン ピコン

えっ?あっ!湊斗君…?

『一ノ瀬さん。大丈夫?急にいなくなって心配したんだよ?』

『無事?今どこ?』

あぁ。本当に湊斗君は優しいな。大好き。

『大丈夫だよ。迎えを頼んでたの忘れてただけだから!心配かけてごめんね。』

『そっか。ならよかった。じゃあまあ明日ね。』

湊斗君にはそう言ったけど、ほんとはすっごくやばい、…

はあ…家に帰りたくない。

「優羽お嬢様。どうしてお約束に遅れたのですか?それと、制服が乱れております。なにか、なさっておられたのですか?」

うっ、谷口さん…。なんでわかるの!?

と、とりあえず誤魔化さなきゃ。

「えーとですね、遅れたのは自習をしてたからで、制服が乱れているのは一つ前の授業が体育だったからですっ。」

うっ!自分でも厳しいと思うよ?でも仕方ないじゃん!

「そうですか。くれぐれも一ノ瀬家のお嬢様としての自覚を持つように。」

「は、はい。もちろんです。」

はあ、絶対バレてる。めんどくさ。ほんと帰りたくない。

「あ、あの。た、谷口さん。お母様は家におられますか?」

「奥様は明日帰って来るご予定ですが。どうかされましたか?」

「い、いえ…。なんでもございません。」

まって、最悪。お母様が帰って来るんだったら私湊斗君との約束行けるかなぁ。


「着きましたよ。お嬢様。」

「分かりました。」

「優羽!おい、優羽はいるか!」

この声って…まさか…ね。

ほんと…ダルッ。


「旦那様。優羽お嬢様はこちらです。ただいま戻りました。」

「つっ。」

谷口さんっ!やめてよ!

「優羽!!おい、いったいどうゆうことだ!?谷口からまた連絡受けたぞ?ふざけてるのか!!」

やばい…お父様カンカンだ…無視する?

「聞いているのか?おい、優羽!」

まずい…そろそろ返事しないと…

「はい。その説は大変申し訳ございませんでした。」

やばい…ちょっとめんどくさい感出ちゃったかも…

「そうか。お前がそういう態度を取るんだったら今すぐ鞄をおいて俺の部屋に来い。分かったな?」

「はい。了解しました。」

やっぱりね…

「おい、谷口!優羽の監視よろしくな?」

「もちろんでございます。旦那様。」

しかも谷口さんの監視つき…か。

「あともうすぐエレナが帰って来る。ルビーとサファイアの特級品の指輪を今すぐもってこい。」

「了解いたしました。」

あー、またお父様がお母様のことをおだててる。

まあ、いつものことなんだけどね。

なんせ、

お母様は日本人とは信じられないくらい美人なの。

だから、お父様もお母様だけは完全な別扱い。

まあ、拓真も咲良も遥翔もか…

「お嬢様。お部屋に戻りますよ。」

「はい。」

「あと、今日は拓真様と咲良様はおられませんから。」

「えっ?なぜですか?」

「はあ?聞いておられないのですか?」

うっ。分からない…。

「す、すみません。」

「はあ。お二人は札幌へ旅行に行かれました。」

「旅行…ですか。」

「えぇ。ですから今日は遥翔様と旦那様、そして明日奥様がお帰りになりになります。」

明日…か。お母様…が帰って来るのは…。

今回は死なないよね…私。

前回は殴られすぎて小腸…破裂寸前だったんだよね…。

ほんと痛かった…。

まあ、取りあえず部屋に行かなきゃ…

「あ、そうでしたお嬢様。今月中に嶺岡様が会いたいそうです。予定は勝手に決めてよろしいですか?」

「えっ?」

「なにか?」

「それって、今週じゃありませんよね?」

「……今週何かあるのですか?」

「い、いえ!そ、そんなことは。」

バレちゃう。なんとかしなきゃ、

「では、今週にしましょうか。」

「だ、ダメです!」

「そうですか。では旦那様にこのことも報告させていただきますね。」

「なっ!」

やっぱり私、谷口さんにも嫌われてるんだ…

なんか、私って生きてて意味あるのかな…?

「お姉様!」

この声は…!

「遥翔っ!」

「おかえりなさいませ!お姉様!」

「うん!ただいま!」

遥翔が私に抱きつこうとすると横から手が伸びてきて抱きつくのを止めた。

「えっ?なにをするのですか?谷口さん。」

「おやめください、遥翔様。お嬢様に触れることは奥様より禁止されております。」

「なぜです?なぜ自分の姉に触ってはいけないのですか?」

「それは…」

私が言葉をつまらせると、谷口さんが

「それはお嬢様が汚いからです。」

つっ。また…だ。また私の本当のお母様のことについて言うんだろうな。

「なぜならお嬢様は」

「メイドの子供って言いたいんでしょ?」

「はい。そのとおりです。」

「なら、なおさらなぜです?それの何処が汚いと?」

遥翔…

「それは…」

「なら、お姉様に触ってもいいですよね」

コツコツ

「遥翔、いい加減にしなさい。」

「しかし、お父様!」

「遥翔。下がりなさい。」

「はい…。」

遥翔が立ち去ると、

「おい、優羽。早く来いって言ったよな?何油を売ってる。早く来い。」

やばい…お父様、凄く怒ってる…

「申し訳ありません。ただいま準備します。」




コンコンコンコン

「失礼いたします。優羽です。」

「遅い!」

ごつっ、、

最悪…もろに顎にくらった。

「申し訳ありません…。」

「ところで谷口から話は聞いた。谷口が来るまでの間、何をしていた?」

「はい。自習をしておりました。」

「本当にそれだけか?」

どうしてそんなことを聞くの…?

まさか、バレた?

「はい。」

「そうか、ではなぜ制服が乱れていた?」

「えっ?」

「谷口から聞いたぞ。お前の制服の胸元がはだけていたらしいじゃないか。何をしていた?」

「い、いえ。なにも。」

ドスッ、ドスッ

「どうしてくれるんだ!嶺岡様は処女がお好きなんだ!もし嶺岡様に抱かれる前に誰がに抱かれたら、殺すからな。」

「はい…もちろんでございます。」

「本当に何もしてないんだな?」

「は、はい。」

「……分った30発殴ったら戻れ。いいな?」

ドスッ、バンッ

痛っ、つっ

20分後

「はあ、お前のせいで手が痛くなったではないか。本当に、お前はなんで生きてるんだ?」

「はい…。ごめんなさい…。」

痛い…制服で隠れるところばかりにアザがついてる…。

「早く戻れ邪魔だ。」

「はい。…。」