莉花ちゃんが喜多川君にお願いしてくれて、

私は湊斗君に会えることになった…。

でも、やっぱり怖い…。

もし、このまま湊斗君に会って私を見たとき

「誰?この人。」

なんて言われたら私、もう立ち直れない…。

どうしよう。このまま会うかそれとも断るか…

どうしよう…

でも、莉花ちゃんがお願いしてくれたから途中で

やらないわけにはいかないよね。

それに…私。湊斗君にもう一回会いたい。

うん、そうだよ優羽。

私が会いたいって言ったんだから。

頑張ろう!

「おはよう!莉花ちゃん。」

「あっ!おはよう咲夜ちゃん!」

「いよいよ今日だね!約束の日っ!」

「うん…。」

「咲夜ちゃん…?どうしたの…?もしかして緊張してる?」

「うん。とっても緊張してる、」

「大丈夫だよ!霧崎君絶対、咲夜ちゃんの事覚えてるから!」

「ほんと…?」

「うん!大丈夫だよ!」

「うん…!莉花ちゃん大好きっ!ありがとう!」

「つっ!!私も大好きだよ咲夜ちゃん!」

やっぱり本物の莉花ちゃんの言葉は違うなぁ。

心にググッってきたもん。

よし!決めたはずだよ、優羽っ。

放課後

「咲夜ちゃん。いよいよだね。大丈夫?」

「うん…。大丈夫だよ、心配かけてごめんね…」

「そんなことないよ!私も舜夜君のことでたくさん相談に乗ってもらったしね!お互い様だよ!」

「うん…、ありがとう!」

「じゃあ行こっか。」

「うん…!」  



「莉花。」

「あっ!舜夜君っ!」

「莉花、遅かったね。」

「うん、ごめんね。思いの外終礼長くて…」

「そっか、じゃあこちら羽住さん?」

「そう!可愛いでしょ?」

「うん。噂通りの人だね。」

「噂…?」

「あ、ううん!なんでもないよ!それより霧崎君は?一緒じゃないの?」

喜多川君は莉花ちゃんの口から湊斗君の名前が出る

と不機嫌そうに口を尖らせたが莉花ちゃんにはバレ

てないみたい…



大好きなんだなぁ、莉花ちゃんのこと。

でも、よかった。喜多川君が莉花ちゃんのことを大

切にしてくれてて。

「湊斗は教室にいるよ。2年a組のね」

「咲夜ちゃん!霧崎君a組だって!」

ギュッ

「えっ…?舜夜君…?」

「莉花。もう二度と霧崎君って言わないで。」

「えっ?どうして?」

「悔しいから…俺の彼女なのにって…思って、さ」

「つっ!舜夜くん…!」

なにこの胸キュン展開!私までドキドキしそうっ

「ごめん…莉花。俺めっちゃしっとぶかかったね」

「ううん。嬉しかった!大好きだよ舜夜君っ!」

「ああ。俺も。」

ちゅっ

つっ、き、キスしてたっ!?

嘘…!?

「あっ!咲夜ちゃんっ!今の…見てた?」

「えっ…う、うん。」

私がそう言うと莉花ちゃんは顔がみるみるうちに真

っ赤になっていった。可愛い。


「は、恥ずかしい…」

「ごめんね、羽住さん。でも日課だから…」

「うん。全然大丈夫だよ。じゃあ私行ってくるね。」


私まで恥ずかしくなっちゃった。

「うん!頑張ってね咲夜ちゃんっ!」



2年A組…ここに湊斗君が…?

よしっ!入ろう!

ガラガラ

「ああ、君が舜夜が言ってた羽住咲夜夏さん?」

「う、うん…。」

「そっか、俺に何か用事があるみたいだったみたいだけど、どうしたの?舜夜が俺に頼み事するなんて珍しいと思ったんだよね。」

「えっ、えーっと。あの…。」

「うん。」

「あ、あのっ!私のこと覚えてますか…?」

「え?羽住さんのこと覚えてる…?」

「う、うん…。や、やっぱり覚えてないよね。
 なんでもないから忘れてください!じゃあっ」

私が出ていこうとすると手を掴まれて、

「待って、ごめんね。すぐには思い出せなくて。詳しく聞かせてくれない?」

「えっ?は、はい。えーと初めて会ったのは確か六年前の会社の創立80周年パーティーで…」


って、あれ?これ、言ってもいいやつだよね?

「つっ!ねぇ、その会社ってもしかしていちの…」

「あぁーっ!見つけたぁ!みなとぉ!かーえろっ!」

「えっ…?」

急に聞こえた可愛らしい声。

「は?誰コイツ、また湊斗に惚れたやつ?ウザつ」

「は…?」

この人はいったい誰…?

「帰れよ。湊斗はあたしのだからあんたみたいなゴミ女なんかにあげるわけ無いでしょ?」

「ちょっと落ち着いて、瑠奈。」

「でもぉ!湊斗!私以外の女子といるなんて許せないよ!いくら湊斗でもぉ!」

「違うよ、瑠奈。俺は告白されてたわけじゃないから。」

「でもぉ、ダメ。しかもコイツあの羽住咲夜夏でしょ?」

あのって…?

「え、はい…。私は羽住咲夜夏です…。」

「やっぱりっ!あんな地味女ほっといて帰ろうよぉ。湊斗〜!」

この人はいったい誰なんだろう?


急に失礼なこと言ってきて…


なんか、腹立つっ!

「でも、瑠奈。俺彼女とまだ話したいことが、」

私はこれ以上引き止めるのが悪いと思って、

「いいよ。ごめんね引き止めて。またね。」

すぐに立ち去ろうとしたら

「待って、これ俺の連絡先だから。」

そう言って私に小さな紙を渡してきた。

「えっ…?」

「なっ!ちょっと湊斗っ!なんでこんなやつに。」

「瑠奈。ちょっと静かにしててね。」

「つっ。」

「でも…」

「いいからもらって。お願い…。」

ここまで言われて断るのは違うと思って、

「う、うん。わかった。」

「よかった…今日はごめんね。また会おうね。」

「は、はい。またです。」

「ちっ。」

ああ、最後まで怒ってたなあの女の子。

いったい誰なんだろう。

「あっ!咲夜ちゃんだっ!」

「莉花ちゃん?喜多川くん?どうしたの二人共。」

「うん!咲夜ちゃんが心配だったのっ!どうだった?会えた?」

「う、うん…。」

「咲夜ちゃん?何かあったの?」

「ねぇ、羽住さん。もしかして瑠奈に会った?」

「えっ…?うん。会ったよ。」

確かに湊斗君も瑠奈って言ってたっけ…

「瑠奈…?誰なの?」

この話を聞いていた莉花ちゃんが少し不安を含んだ声で喜多川君に尋ねた。

それを感じ取った喜多川君が

「莉花。羽住さん。ほんとはこれは内緒なんだけど、瑠奈は湊斗の許嫁…だよ。」

「「えっ…?」」

「まず、湊斗が霧崎グループの次期頭だってこたは知ってる?」

「はい。一応は…。」

「瑠奈は裏社会のトップの大宮グループの令嬢だよ。」

「えっ
…?大宮グループってあの…?」

「そう。任務のためなら殺しもありの最悪のグループだよ。でもそのおかげで今は裏社会のトップと呼ばれているけどね。」

「そんな…。」

「でも、多分湊斗、瑠奈のこと好きじゃないと思うから、大丈夫だよ。湊斗のことを信じてあげて。」

「はい…。」

「多分湊斗のことだから連絡先の紙くらい羽住さんにあげてるんじゃない?」

「はい。去り際にもらいました。」

「やっぱりね、じゃあこの子は湊斗がずっと探してた六年前の…」

喜多川くんが何かを言っていると、心配した莉花ちゃんが

「舜夜くん…?どうしたの?大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。」

「じゃあ、羽住さん。湊斗に連絡してみてね。」

「わかり…ました。」

「うん。じゃあ莉花。帰ろうか。」

「うんっ!じゃあまたね。咲夜ちゃん!」

「うん。またね。莉花ちゃん。」

はあ、疲れた。


もう、大宮グループの令嬢だからって…あんな言い方は無いでしょ!

ほんとはあの時腹が立ちすぎてもっと言おうかと思

ってたけど、学校での私はそんなことは言わないん

だったんだよね。

ほんと、めんどくさい。

でも、仕方ないよね。こっちの私は嫌われちゃうキ

ャラだし…

さ、さっさと谷口さんに連絡して迎えに来てもらお

っと。なんかとっても腹立つし。

「もしもし。谷口さん?すみません、今から迎えを頼めますか?」

「はい。もちろんでございます。優羽お嬢様。」

「ありがとうございます。では今日は遅くて人が少ないから校舎に入ってきてください。玄関前で待っています。」

「はい。了解しました。お嬢様。では、また後ほど。」

「はい。」

よし、迎えも頼めたし後15分くらいかな。

校舎でも、ぶらぶらってしとこー。

ピコン ピコン

えっ?

このメールアドレス湊斗君の?

『さっきは瑠奈がごめんね。また時間を合わせて話したい。いつなら大丈夫かな?』

『ほんとにごめんね。』

つっ!湊斗君…!

いつ、いつならね…

私、基本的には外出は禁止なんだけど、でもたくさ

ん話したいことがあるから休日がいいよね。


としたら、今週の土曜日…かな。

『返信遅れてごめんね。今週の土曜日でどう?』

ピコン

『わかった。今週の土曜日だね。じゃあ今週の土曜日の12時にMIRACLEモールでどう?』

土曜日の12時でMIRACLEモール、ね

『わかった。それでオッケーだよ。』

ピコン

『ありがとう。じゃあまた土曜日ね。』

『うん。またね。』

さ、日程も決まったことだしどうしようかな。

課題も出てないし、暇だなぁ。

あっ!

そういえばこの学校の旧校舎で莉花ちゃんが襲われたって言ってたっけ…。

ちょっと行ってみる…?

でも、私もおそわ…ないわね

私なんかを襲って得なんてないし。

じゃ、行ってみよーかな。

えーっと確かここから7分くらいだったよね。

うわー。噂に聞くボロボロさだね。

莉花ちゃんがビックリするのも納得かも。

ギギギギー

うわっ、ここが旧校舎…?

怖っ!私、ホラーとかホントに苦手なんだけどっ!

ま、まあ谷口さんがくるまでの10分だけだし…

以外とすぐに終わるよね…?


ギシギシッ

えっ…?


足音?


誰の?

しかも、一人や二人じゃない。

三人…いや五人くらいかな?


嘘…?でもどうして…?

この時間は最終下校時刻を過ぎてて学校にいる生徒は少ないはずなのに…

どうしよう。怖い…。

ピコン ピコン 

えっ?

メール?いったい誰から?

あっ、湊斗君のだ…。

『あの、羽住さん。今、どこにいるの?』

『まさかまだ校舎内にいたりしないよね?』

え?私の居場所?どうして?

まあ、とりあえず答えてみるけど…

『うん。今は旧校舎にいるよ?』

ピコン

『………。じゃあ今すぐそこから逃げて。』

逃げる…?なんで?


『どうして?』

『ねぇ、もしかしてさ羽住さんの他にも人がいない?人が。』

『え、うん。いるよ。五人くらいかな。』

『まずいかも。今すぐそっちに行くから絶対に動かないでね。』

『う、うん。わかった。』

どうしたんだろう。湊斗君。てっきり大宮さんと一緒に帰ったんだと思ってたけど…

「なあ、さっきから電子音聞こえねぇ?」

「あ?そんなわけねぇだろ?ここには元ルーゼの俺たちしかいねぇんだから。」

元ルーゼ!?

ガラッ

あっ!しまった。ほうきが。

「ちっ、やっぱり誰かいやがるぜ。」

「おい。どっちから音がした!?」

「左からだ!」

「オッケー。じゃあお前は右から攻めろ。俺は左から行く。」

「了解ですー」

やばいよ、絶対すぐバレちゃう…

どうすれば…

あ、湊斗君っ!!

『湊斗くん!お願い!助けて!場所が元ルーゼさんにバレちゃった。どうしよう!』

ピコン

『まじか…もうすぐつくからもうちょっと我慢してね。』

よかった…。もうすぐ湊斗君が来てくれるって…。

「みーつけたぁ!」

「えっ…!?」

嘘…?バレた…?

「お前が侵入者だな?」

「い、いえち、違います!」

「嘘つくなって〜わかってんだぞ?早く白状しろよ〜そしたら痛い目には合わせないから、さ?」

何なのこの人っ!

そういいつつ私の制服に手を入れてお腹を撫で回してくる。

「い、いやぁ。誰か助けて…」

「どーせだれもくりゃしねーよ。ここには俺たちしかいないからな。」

「それよりさ、お前ちょっと地味だけど可愛いねぇ。スタイルもいいし、俺の彼女にならねぇ?そしたら今回の件誰にも言わないでやるよ」

この人の彼女に?私が?絶対に嫌っ!

心ではそうだとわかってるけど、体が言う事を聞かない…!

いったいどうしたら…誰か…

そう言ってる間にもブラジャーの隙間から手を入れてきた。

「お!胸も柔らか〜最高だなこの感触。お前今まで抱いてきた女どものなかで一番いいぜ!」

「い、いゃあん。あっ。んっ!」

「うお!興奮してきた。よし今抱こう!」

いゃあ…お願い…助けて…湊斗君っ!

「おい、お前。俺の知り合いになにしてんの?」

えっ…?この声ってもしかして…

湊斗君…?

「は?お前誰だよ?」

「俺?俺は霧崎湊斗。お前らも一度は聞いたことあんじゃねぇーの?」

「き、霧崎湊斗!?なぜ貴方様がこんなところに…?」

「いや、俺の知り合いに手を出してるゴミがいるって聞いてなぁ。」

み、湊斗くん…?ほんとに…?別人みたい、、

「い、いやこいつが貴方様の女だったとは知らずに失礼いたしました…」

い、いったい湊斗君って…?

「おい、お前ごときが羽住さんをこいつ呼ばわりすんな。」

!?

「し、失礼いたしました。」

「んー、どうしょうかな。お前の処分。まさかまだルーゼの生き残りがいたなんてなぁ。めんどくせぇな。」

「お、お許しください…。もう二度と貴方様の前に顔を出さないので…」

「は?そんなの当たりまえでしょ。」

「そ、そうですよね。失礼しました…。」

「よし、決めた。お前エジプト行きな。一生帰ってくんなよ。あ、飛行機代はお前が出せよ?」

「は?ふ、ふざけるなよ。たかがお前一人やってやるよ…。」

「はっ、おもしれぇ。やれるもんならやってみろよ。」

「オラァ」

「はっ」

「グワッ、ウワッ」

えっ…?

「はあ、よっえーな。雑魚が。」

「み、湊斗君…?」

「うん?羽住さん、遅くなってごめんね…。」

さっきの湊斗君とは別人みたいに穏やかな顔してる…。いったいどっちが本物の湊斗君…?

もしかして湊斗君って私と一緒…?

「ね、ねぇいったい湊斗君って…」

「しっ!じゃあこの話はまた土曜日ね。送っていくよ、家はどこ?」

はっ!迎えっ。すっかり忘れてた!やばいよ。

絶対谷口さん心配してお父様に連絡してる…。

このままじゃまた怒られる…。

「じゃ、じゃあまたね!湊斗君!」

「えっ?ちょ、羽住さん!?」

ほんとに、最悪っ。