「…湊斗くん。」

「ん?どうしたの?」

「は、恥ずかしいんだけど!」

そう、私は今すごく恥ずかしいのだ。

だって、湊斗くん…私の首筋に顔を埋めてるんだもん。恥ずかしくて死んじゃう…!

「俺はこのままがいいの。ダメ?」

「ダメじゃないけど…。」

「ならいいでしょ?」

うっ、そこまで言われたら断れない。

「でも、どうしたの?湊斗くん。」

普段の湊斗くんは多分こんなことしない。

「ねぇ、優羽は嶺岡のこと…好き?」

不安そうな声が言ったのは予想外の言葉だった。

「それは決まってる。大嫌いよ。」

「そっか…。よかった。」

湊斗くん…?

「もし、優羽が俺のために大好きな嶺岡から離れてきたって言うんだったら、俺申し訳ないことしちゃったなって。思ってさ。」

「うんん。それは違う。私は自分の意思で湊斗くんが良いって思った、だから気にしなくても大丈夫。わかった?」

「…うん。そうだよね。なんか不安になって。」

ふふ、可愛い。

「…。お前今可愛いって思ったろ。」

「えっ!?どうしてわかったの?」

声に出してないのに…!

「はあ、そんなん分かるに決まってんだろ?」

すごい!

「それより、優羽。お前学校はどうすんの?」

「学校…?そうだ!学校!どうしよう。」

「そうだな…多分行っても嶺岡がいるだろうし、な。少しくらい休んでもいいんじゃねーの?」

「ダメだよ。莉花ちゃん、心配するし。」

「そんなん舜夜に言っといてって言えばよくない?」

「でも…」

「優羽、お前今の自分の状況分かってんのか?」

はっ!そうだ、私、家出したんだ。

「そう…だよね。ごめん。忘れてた。」

「いや、いーけど。」

「それより、湊斗くん。これからどうするの?」

「そうなんだよね、嶺岡を怒らせちゃったぽいし、ルーゼに宣戦布告されたし。ほんとめんどくせーな。」

「ご、ごめんなさい。私のせいで。」

「はあ?お前のせいじゃねーよ。あんま、自分を責めんな。」

えっ…、なにこのドキドキは…

「…うん。ありがとう。」

「まあ、一応舜夜には連絡しとかないとな。」

「じゃあ、私も莉花ちゃんと涼太にしばらく学校休むって言わなきゃ。」

「くれぐれも、」

「うん。悟られないようにする。」

「………。わかってんじゃん。」

「当たり前でしょ?」

「はは、そうかもな。」

「ねぇ、優羽。」

「?どうしたの?」

「俺…正直、優羽か蘭穿を選べって言われたら…俺は、優羽を選んじゃうと思う。」

「…」

正直、湊斗くんが私を選んでくれたのはすごく嬉しい。でもおそらく、湊斗くんにとって蘭穿はすごく大切なものだと思う。だからこそ、悩んでいるのだ。

「俺…ルーゼの組員に会ったときお前のこと知らないって言ったけど、ほんとは知ってるんだよ。だってあいつは舜夜のことを銃で三…四発撃ってる…」

えっ…?今、なんて…?


「しかも、笑いながら。あいつは、頭がおかしい」

笑いながら人を撃ったの?

「うそ…」

「あの時は莉花を庇ってだから、もう、大絶叫だったよ…そりゃそうだよな。目の前で大好きな人が殺されかけてるんだし。」

「そんな…」

「でも、舜夜は奇跡的に生きれた。」


そんな…なるほど。湊斗くんが言いたいことが分かった。つまり、その頭のおかしい人に私が湊斗くんの女だって知られて怖いのだろう。

だったら、


「大丈夫よ、湊斗くん。私は死なない。絶対に。約束するわ。」

「優羽……。」


「なーに?信用できない?」

ちょっと拗ねたように言うと

「いーや、俺は優羽が大好きだからな。」

と言って逆襲してくる。

「もうっ!」

「優羽。」

?急に改まってどうしたのかな?

「湊斗くん…?」

「俺の女になってほしい。」

えっ!?告白っ!?嘘!

「う、うそ…。ほんとに?」

「ほんとって?」

「いや、まさか湊斗くんが私のことを好きだなんて信じられなくて。」

「ふーん。じゃあこうしたら信じてくれる?」

チュ

「なっ!」

「どー?」

「つ〜!よろこんでお誘い受けます!」

「私も大好きだよ!湊斗くん!」

「ああ。俺も。お前は一生俺のもんだ。」