高校に入学し周りに染まった地元の友人がどんどん派手になっていくなかで、空音と瑛太郎だけは何も変わらなかった。
同窓会でからかわれたりすることも何度かあったけど、それが規則という割り切りもあったし、同じように変わらない人が自分以外にもう一人いるという安心感が空音にはあった。
ーー小松は、支払い要員だから。
カラオケの音が一瞬途切れたとき、空音はふと、優希が教室で言っていた言葉を思い出した。
瑛太郎は大学に入ってからも相変わらずで、真面目そうな見た目はちょっと浮いていたし、こういったからかわれ方をすることがあった。
空音はそれを知っていながらも、止めることが出来なかった。
同じような自分もまた、いつかそうなってしまうのではないかと恐れる気持ちがあったから。
「がっつりメイクに茶髪…ね」
もう一度、瑛太郎に目を向ける。
瑛太郎はもうこっちを見てはいなく、名前も知らない派手な男に無理やり曲を選ばされている。
空音は自分の髪に手櫛を通した。
ボブ。真っ黒。
大学に入り瑛太郎が染めたら、自分も染めようと思っていた。
瑛太郎が、大学デビューを果たしたら自分もまた、デビューしようと思っていた。
そうでないとなんだか瑛太郎を裏切ってしまうような気になった。
「こんな童顔に、ガッツリメイクなんて似合うわけないじゃん。みんな勝手なことばっかり言って」
まだ一度も染めたことのないサラサラの髪。
この髪だってわりと嫌いじゃない。
曲が流れ、瑛太郎の歌声が部屋に響く。
その上手さに周りは驚き、女たちの瑛太郎を見る目が一気に色気立つ。
上手いのは当たり前。瑛太郎は小さい頃から、ピアノと発生を習っているからね。知らなかったでしょ。
へへん、と誇らしくなる空音。
手の甲でリップを拭い取り、もうしばらくはこのままでいいかも…と空音は思った。
同窓会でからかわれたりすることも何度かあったけど、それが規則という割り切りもあったし、同じように変わらない人が自分以外にもう一人いるという安心感が空音にはあった。
ーー小松は、支払い要員だから。
カラオケの音が一瞬途切れたとき、空音はふと、優希が教室で言っていた言葉を思い出した。
瑛太郎は大学に入ってからも相変わらずで、真面目そうな見た目はちょっと浮いていたし、こういったからかわれ方をすることがあった。
空音はそれを知っていながらも、止めることが出来なかった。
同じような自分もまた、いつかそうなってしまうのではないかと恐れる気持ちがあったから。
「がっつりメイクに茶髪…ね」
もう一度、瑛太郎に目を向ける。
瑛太郎はもうこっちを見てはいなく、名前も知らない派手な男に無理やり曲を選ばされている。
空音は自分の髪に手櫛を通した。
ボブ。真っ黒。
大学に入り瑛太郎が染めたら、自分も染めようと思っていた。
瑛太郎が、大学デビューを果たしたら自分もまた、デビューしようと思っていた。
そうでないとなんだか瑛太郎を裏切ってしまうような気になった。
「こんな童顔に、ガッツリメイクなんて似合うわけないじゃん。みんな勝手なことばっかり言って」
まだ一度も染めたことのないサラサラの髪。
この髪だってわりと嫌いじゃない。
曲が流れ、瑛太郎の歌声が部屋に響く。
その上手さに周りは驚き、女たちの瑛太郎を見る目が一気に色気立つ。
上手いのは当たり前。瑛太郎は小さい頃から、ピアノと発生を習っているからね。知らなかったでしょ。
へへん、と誇らしくなる空音。
手の甲でリップを拭い取り、もうしばらくはこのままでいいかも…と空音は思った。
