女という生き物はなんて欲深いのだろう。
思いを寄せられているというだけで充分だというのに、それだけじゃ足らずさらに先を望む。
それは可愛いと言われ、さらにその自覚のある女だけの特権だ。
実際朱莉はすれ違う男が二度見するほど可愛く、そして本人もそうなるよう努力している。
「まあ、朱莉にはもっといい人がいるよ」
「そうだといいんだけど。で、空音はどうなの?彼氏出来た?」
「ないない。好きな人すらいない」
「空音さあ可愛んだからもっとしっかりメイクすればいいのに。今ってすっぴん?」
随分失礼だな、と思いつつ、仲が良くないからこそ平気で言えるんだなと空音は冷静に思う。
「パウダーファンデとリップくらいはしてるよ」
「それってほぼすっぴんのようなものじゃん。もっとがっつりメイクしたら空音の顔なら映えると思うよ。髪も明るく染めて、巻いたりして。服装とかもさあ」
「似合わないから、私には」
途中で遮ったことに不機嫌さを感じたのか、ばつが悪くなった朱莉は自分の席へと戻っていく。
小さくため息を吐きながら顔を上げると、同じようにバツ悪そうに体を丸くする瑛太郎と目が合い、空音はとっさにそらした。
空音と瑛太郎の通っていた高校は地元でも有名な進学校で、そのせいもあり校則もひどく厳しかった。
髪を染める?とんでもない。
長さすら定められており、規則より長ければ縛るか切るかのどちらか。
アクセサリー禁止。スマホ禁止。
スカートは膝下丈。ボタンは第一ボタンまでしっかり。
男子もまた、同じ。
思いを寄せられているというだけで充分だというのに、それだけじゃ足らずさらに先を望む。
それは可愛いと言われ、さらにその自覚のある女だけの特権だ。
実際朱莉はすれ違う男が二度見するほど可愛く、そして本人もそうなるよう努力している。
「まあ、朱莉にはもっといい人がいるよ」
「そうだといいんだけど。で、空音はどうなの?彼氏出来た?」
「ないない。好きな人すらいない」
「空音さあ可愛んだからもっとしっかりメイクすればいいのに。今ってすっぴん?」
随分失礼だな、と思いつつ、仲が良くないからこそ平気で言えるんだなと空音は冷静に思う。
「パウダーファンデとリップくらいはしてるよ」
「それってほぼすっぴんのようなものじゃん。もっとがっつりメイクしたら空音の顔なら映えると思うよ。髪も明るく染めて、巻いたりして。服装とかもさあ」
「似合わないから、私には」
途中で遮ったことに不機嫌さを感じたのか、ばつが悪くなった朱莉は自分の席へと戻っていく。
小さくため息を吐きながら顔を上げると、同じようにバツ悪そうに体を丸くする瑛太郎と目が合い、空音はとっさにそらした。
空音と瑛太郎の通っていた高校は地元でも有名な進学校で、そのせいもあり校則もひどく厳しかった。
髪を染める?とんでもない。
長さすら定められており、規則より長ければ縛るか切るかのどちらか。
アクセサリー禁止。スマホ禁止。
スカートは膝下丈。ボタンは第一ボタンまでしっかり。
男子もまた、同じ。
