あいしていた、昨日まで。

瑛太郎の髪が夕風になびく。
その先に見える瑛太郎の目は、とても優しかった。
あれ?瑛太郎ってこんな顔していたっけ?
疑問を振り切るよう思い切り息を吸うと、ガソリンの匂いで空音はむせ返りそうになった。

今、私は自分に自信がない。
わかっている。春樹に投げられた刺々しい言葉のせいで、ちっぽけな自信さえ消え去ってしまった。
ーー変わりたい。
今の自分を。振り返ればそこにある過去を。
変わりたい。そうすればきっと何かが変わる。
「ねえ瑛太郎、私たち変わろう」
「え?変わる?」
突拍子もない空音の提案に、瑛太郎は声を裏返す。
「うん。変わって見返してやろうよ」
「や、俺は何も関係な…」
きっと変われるよ。
やって出来ないことはない。
それに、仲間がいれば。
瑛太郎、ごめん。もう一度だけ、巻き込ませて。
一緒に変われば怖くない。

瑛太郎はこれ以上何を言っても無駄だと諦めたのか、肩の力を落とす。
「わかったよ」

私は変わる。あんな男の言葉になんか負けない。
そして過去を捨て、今度こそ前に進む。
「俺は今のままの空音も、いいと思うんだけどな…」
瑛太郎の呟きは、横を通るバイクの音に掻き消され、空音には届かなかった。