いやいや、悧來はただの後輩だよ?うん。
妙に脈が速まったけど、これはたぶん気のせいだ。
「……私は何つくろうかな」
でもやっぱり、一番に思い浮かぶのは、私の作ったお菓子を美味しそうに食べてくれる悧來だった。
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「っあーー重い!」
「じゃあ学校に来なかったら良かったじゃない……」
「恋奈の力になるって決めたからね!」
こういうときの男前な彼女は、一体どこからやって気ているのだろう。
近くから「かっけえ……」と、成沢くんが眩しそうに呟いていた。
今日は卒業式の代休。
でも部活はあるから、登校した部員は必ずと言っていいほど昨日の卒業式の片付けに駆り出される。
みんなそれは嫌だから、今日はいつもより学校が静かだ。



