……お菓子作ったら、あの後輩は食べてくれるかな。
って、何考えてるの私……!
ぶんぶんとさっき思ったことを振り払うように頭を振った。
そしたらそれに気づいた咲菜がニターっと、変な顔で笑う。
「あれえ、いま恋奈チャンは何を考えたのかな?」
「ーーっっ!なにも考えてない……はず」
これはもーすぐかなあ、と変なことを呟いている彼女はもう放っておく。
こういうときだけ“チャン”とか付けちゃって。
私をからかっているのが丸見えだ。
もういっそ、藤くんに咲菜がチョコを用意していることを暴露してしまおうか。
学年から数名ずつの運営係だという彼に渡す咲菜は、渡すところをシュミレーションしているのか、頬が緩みまくっている。
私へのからかいの言葉の端に音符が鳴っているように聞こえたのはこれか。
私も私で、いつもならサラッと流せるのに、なぜか今日はあしらえなかった。
「……疲れてるのかな」
「恋奈は大抵疲れているように見えるよー」
「ちょっと」



