一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。


*





「ーーはあ、大変だね……。西宮くん疲れてない?大丈夫?」


「俺は全然大丈夫です。でも先輩は頑張りすぎだと思います」


「んー……三年生の人たちにはなんだかんだお世話になってるしね。私の出来る限りで最高の卒業式にしたいんだ」





ーーーガゴンッと大きな音を鳴らして冷たい飲み物が落ちる。



それを取るために、少し重たい膝を折ってしゃがんだ。



「……美澄先輩は、かっこいいですね」


「え?」



隣を向くと、いつもの大きめな瞳とは目が合わず、白い肌にふと影が落とされていた。



「……西宮くん?」


「……俺、優柔不断だし気弱だし、すぐに逃げ道探すタイプだから」



冷たい水の容器に張った霜がゆっくりと溶けて、雫になって落ちる。


西宮くんは、それが自分の手につたっても気づかずに話し続けた。