「……どこから見てたの」


「俺は今来たばっかりですよ」



あとは“からかわれ上手”、なんて付け加えられて。


いつもと同じ笑顔を向けられると、なぜか無性に安心した。



「さ、センパイの初合コンも無事に終わったことですし帰りましょう」


「なんで初めてだって分かったのよ」



私は悧來に合コンが初めて、なんて言ったことがない。


訝しげに見つめると、その瞳が緩く流れて私を捉えた。



「だから言いましたよね。『センパイには合コンは似合わない』って」


「……そういうこと?」



それだけじゃないけど、と付け加えられた言葉は。


柔らかく鼓膜に溶けて、すぐに受け入れられる。


隣を歩く悧來から時折ふわりと香るものに、なぜか落ち着いた。




「そのままの先輩が、俺はいちばん良いと思います」




「……そ」