「……いつから?」
「最初から」
四月だと言われて、会ってまもなくだったということに驚く。
「先輩はぜんっぜん気付いてくれませんでしたけどね」
少しジト目で見られるけど、そんな姿すら可愛いと思う私は重症だ。
でも、私も彼に言いたいことがある。
「……悧來のばか、わからずや」
「はい?」
「頭良いくせに、そこは鈍いなんてひどい。私だって、悧來のこと好きだよ」
瞬間、よく知る香りに包まれた。
この前と同じ感触、だけど気持ちが違うから全くの別物。
ぎゅっと背中に腕をまわして、悧來にすっぽりと収まる。
「……ふふ」
「なんですか」
「今回は悧來の勝ち、かなあ」
「何の勝負か分からないですけど、俺はいつも先輩に負けてますよ」
いつもからかわれる度に言い負かされてきたから、その勝負ってことにしておこう。
一度からだが離されたかと思えば、今度はぽす、と私の肩に彼は頭を置く。



