なんとか振り絞って言った言葉は、最後は少し滲んでしまった。
ぐっと涙をこらえて、目の前の悧來を見ると、
「…は……?」
私が何を言ってるのか分からない、という困惑した表情だった。
「…先輩、それ誤解です」
「俺は、とっくの前に水原に告白されたけど、告白を受けた覚えはないです」
どうやら、彼女が悧來のことを諦めきれなかったらしく。
「……じゃあ、付き合ってないってこと?」
「そうです、俺が好きなのは恋奈先輩だけ」
「そっか、よかったあ………、え?」
…今、なんて、っえ?
聞き間違い、と思ったけど目の前で赤く染まった頬を見ると、現実だと認識して、私の頬もかあっと熱をもつ。
本人は、「あーあ、ほんとはここで言うつもりなかったのに」なんて呟いてるけど。
とりあえず、えっと、つまり、
「悧來は、私がすき……?」
理解が追い付いてない頭で必死に出した答えは、彼のはにかむ姿で確信へと変わる。



