『応援はするけど、協力はしないってこと。ただ見守るだけがいいかな』
『…そうですか』
意気地無しだと思う。中立だって、カッコつけたと思う。
ーー私は、中途半端に自分の気持ちを濁して水原さんへ返事をした。
「私も好きなの」って、なんで言えなかったんだろう。
"好き"は認めた。だけど、どうしても、その先が踏み出せない。
「……じゃあ私、先に帰ってるね」
そう言い残して、すたすたと早足で去ると、二人の会話は聞こえなくなっていた。
だんだん歩く速度がゆるくなっていく途中で、横を通り過ぎたカップルの会話が聞こえて、立ち止まる。
『ねえ、この観覧車のジンクス知ってる?』
ーーー観覧車の一番うえでキスしたら、永遠に結ばれるんだって。
「ーー…っ」
なんで、泣きそうになってるんだろう。
自分から身を引いたのに、なんで今更。
「ーーー先輩…っ!」
今にも雫がこぼれ落ちそうだったとき、
後ろから、いちばん愛しい声が聞こえた。



