どうやら、彼女は帰ろうとしていた時に私たちを見つけたらしい。
私が一緒に来ていた相手が悧來だと知って驚いていた。
息を切らして、私のことを少し気にしながらも、悧來の方をまっすぐ見ている。
「悧來くんっ!一緒に観覧車乗りませんか…っ?」
「え……いや俺は恋奈先輩と、」
「ーーい、いいから悧來、行ってきなよ」
やっぱり、悧來の好きな人は水原さんなのかもしれない。
だって二人お似合いだもん。
そんな気持ちを込めて言うと、悧來の傷ついた表情が目に映った。
瞬間、視線を下へとそらす。
先に提案してきたのは悧來。だけど、悧來の好きな人かもしれない水原さんが誘えば、そっちの方が良いに決まってる。
さっきの言葉は、私のことを気づかって言ってくれただけだと思う。
ーー私は多分、好きな人に好きだと伝えられないまま、この恋を終えるんだろうな。
自業自得だ。
『私は、協力はできない』
『え、それって……』



