この子をいざ目の前にすると、思う。


私も悧來と同い年が良かったなって。


でも私には咲菜や生徒会のみんながいるし、悧來とはこうして先輩と後輩という関係で仲良くできるから、今がいちばん良いとも思う。



だけど、やっぱりうらやましい。



私みたいに放課後の部活を待つんじゃなくて、毎朝のあいさつから一緒にいられる人が。



恋は不思議。人の持つものが全て羨ましく思うから。



悧來は気づかない。私が敬語を使われる度にすこし悲しくなってることを。



あんなに冗談でも「敬えぇ!」って言ってたくせにね。



敬語は私に、悧來とは“先輩と後輩”という関係でしかないって思わされるから。




「…美澄先輩?」




黙っている私を見つめる彼女の瞳は、まっすぐで悧來みたい。




「……私はーーーー……」





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