服屋さんに戻り、私達はさっきのワンピースのところに戻ってきていた。私は陽菜に

「このワンピースとかどう?これなら湊斗くんもイチコロだよ!ちょっと着てみな」

と言い、ほぼ、強引に試着室に陽菜を放り込んだ。ふぅ〜何か疲れた…とつぶやき、試着室のすぐ隣のソファーに座ると

「っ…、ハァハァハァ」

急にドクンとした胸の痛みを覚えて思わず胸を抑えてうずくまる。

これは、きっといつもの発作だ。でも…今はまだ帰りたくない。幸い周りには誰もいない。すーはーと何度か深呼吸をするとやっと胸の痛みは収まった。久しぶりの発作にこのまま元気で入れたらいいのになんて考えていた私がなんだか馬鹿らしくなってしまった。やっぱり私は病人だもんね。自分の胸に抱えた時限爆弾はいつ爆発するかもわからない。いつだって私は病気という名の狭い檻に囚われている…

「おーい、結愛ちゃん!服着れたよ〜どうかな?」

と言う陽菜の声でハッと我に返る。私は今できる精一杯の笑顔で

「すごいかわいいよ!」

といったが、ちゃんと私は笑えていただろうか。