ようやく陽菜ちゃんが泣き止みほっと一息つくと、陽菜ちゃんが私をうるうるとした目で

「相談にのってもらってもいい?」

と聞いてきた。私はなんと答えるか少し考え

「私で良ければもちろんいいよ、まあ最初は私がいい出したことだしね」

と答えた。陽菜ちゃんは『ありがとう』と言ってから一息ついて話し始めた。

「私ってさ、見ての通りなんか男っぽいじゃん。そのせいで好きだった男の子に気持ちを伝えたとき、お前嘘告だろって言われて、まともに相手さえしてもらえなかったんだよね」

陽菜ちゃんはどこか遠くを見るような儚げな様子で言った。

「そんなのひどいっ!」

私は陽菜ちゃんの話を聞いて思わず声を上げてしまった。だって陽菜ちゃんは頑張って気持ちを伝えたのに…

「結愛ちゃん、それはいいの。だってその子はずっと私のこと友達だと思ってたわけだしさ、急に言われても困るのは当たり前だよ」

陽菜ちゃんはそう言い切った。でもその顔には後悔と悲しみが混ざっていた。私は陽菜ちゃんを抱きしめると、

「そんなことない!陽菜ちゃんは何も悪くないよ。悪いのはそのクズ男だから!」

と陽菜ちゃんに言い聞かせるように言った。陽菜ちゃんは『クズ男って…』と、笑ってくれて、少し安心した。

「でも…」

と陽菜ちゃんに言われ、まだ何かあるのかと向き直る。

「男の子とはかかわらないって決めていたのに、今は湊斗のことが気になっちゃって…でも、どうしたらいいかわからなくてさ…」

と顔を赤くして言う陽菜ちゃん。それを聞いて私は陽菜ちゃんの不思議な行動の数々に納得し、少しニヤリと笑って

「大丈夫だよ!恋する乙女はめちゃくちゃ可愛いんだから!そうと決まれば私が陽菜ちゃんを可愛くしてあげる!」

と陽菜ちゃんに向かって宣言した。