「そんなに心配しなくても大丈夫です。」



言われてやっと俺は自分が歩き回っていたとわかった。



「ああ、はい。」



案内係の人は綺麗に整った長い髪を掻き上げ、ため息をついた。



「貴方自分で言ったでしょう。
誰も捕って食いはしないって。」



心底馬鹿らしいという顔をしている。



「でもやっと、一緒にいれると思ったのに離れてしまいそうになってるんだよ。」



本気で怖い。


…母さん達だってそうなった。



案内係はもうダメだと思ったらしく、コッコッと靴音を響かせて歩いて行った。