スクリーンの座席は一番真ん中の席だったので、とても、見やすく、物語の中に溶け込むように鑑賞できて、大満足だった。
「んー!楽しかったー!」
「楽しんでくれたみたいで良かった」
「はい!映画、また、行きたいです!」
映画を観てる間、飲み物を飲んで無かったことを思い出し、急に喉が乾いた。
「そういえば、コーラ、残ってるけど、飲む?」
と先輩が言ってくれたので、
「はい!ありがとうございます」
私は素直に受け取って飲んだ。
「後、それ、俺が飲んだやつだから」
え?
「先、言ってください!」
全然、減って無かったから、気づかなかった。
「言う訳ないだろ。
俺は、二人で飲むために買ったんだ」
「先輩、私の事、からかってますね」
「そんな訳、無いだろ。日菜の事、好きだから」
「だから、先輩はずるいです」
「もっと、言ってほしい?」
「お願いします」
「それなら、次、行くか」
そして、次に来たのはショッピングモールだった。
「先輩、人混み、苦手ですよね。
今日は人一倍多いですけど、大丈夫ですか?」
「問題ない。こっちだ」
朔夜先輩は人混みの中に入っていく。
「先輩、待ってください!」
朔夜先輩、見失っちゃった。
とりあえず、電話してみよう。
私は、少し、来た道を戻って、人混みが少ない広場で、朔夜先輩に電話をかけた。
「日菜です。逸れてしまって」
「俺も掛けようと思ってたとこだ。
今、何処にいる?」
「今、少し戻った広場にいます」
「すぐ行く」
あっ、電話、切れた。
でも、これで安心だ。
「そこの彼女、一人で何してるの」
後ろを向くと、この前の放課後デートの時に邪魔して来た不良がいた。
その後ろには五人の子分?がいる。
「なんなんですか?私、今、朔夜先輩とデート中ですよ。邪魔しないで下さい」
「だからだよ。愛しの彼女が襲われたと聞いたら、アイツもカッコつけられないだろ?」
えっ?
「もしかして、私、狙いですか?」
「そうだ!さっさと来い!」
「行かせるわけねえだろ」
この声は!
「日菜は俺のだ」
朔夜先輩!
「来たか」
「遅くなったな」