「悪かったな」
「いえ。ずっと、楽しみでした」
「俺も」
恥ずかしかったのか、朔夜先輩の顔が赤くなった。
「先輩、顔、赤いですよ」
「日菜が可愛いのが悪い」
そんな事、
「急に言わないでください!」
「日菜も赤くなった」
「なんで、得意げなんですか!」
「ほんとの事は言ったけど、ちょっとからかいたかったから」
ちょっとじゃない!
「怒った」
「はい。怒ってます」
「日菜...」
ん?先輩、何か言って。
「おい、新月朔夜。彼女とデートか?」
えっ
「俺の後ろに居ろ」と言われ、朔夜先輩の背中に周る。
「この前はよくもやってくれたな。彼女がいるなんて噂はあったが、後、何人いるんだろうな」
同じ高校生かな。でも、不良らしい。
「また、喧嘩したんですか?」
先輩は、コクッと頷く。
「普通に絡まれたから。でも、今日は喧嘩してる暇ないし」
そして、私を抱き上げ、走り出した。
「別の奴に相手してもらいな」
「逃げるな!待て!」と言い、追いかけて来るが、喧嘩した相手は足が遅かったようで、あっという間に見えなくなった。
結局、神社まで戻って来た。
「撒いたか」
「あの、重くなかったですか?」
「日菜くらい大丈夫だ。
沢山の物が詰め込まれたダンボールの方が断然重い」
「あの、そろそろ降ろしてもらっていいですか?」
「忘れてた」
ゆっくり、降ろしてくれた。
「そう言えば、さっき、何を言ってたんですか?」
「聞いてなかったのか」
「はい」
「しっかり聞いとけよ」
「はい」
そう言うと朔夜先輩は私を抱き寄せた。
それだけで心臓の音がうるさいのにちゃんと聞けるかな。
「日菜」
でも、その心配はなかった。
「愛してる」
私は先輩の胸の中で言った。
「先輩はずるいです」
すると、先輩の私を抱きしめる力が少し強くなった。
「知ってる」