「紫苑はバレンタインどうするの?」
1月も半ばを過ぎたある日の昼休みに、沙苗が聞いてきた。
「そっか、もうあと1ヶ月もないんだ」
「そうだよ。バレンタインと言えば、恋人たちの3大イベントなんだから」
「3大イベント?」
「知らないの? クリスマス・誕生日・バレンタインのことだよ」
「……あ、そうなんだ」
沙苗って、こういうことには詳しいんだよね。
「わたしはオーソドックスに手作りチョコをあげようかなって思ってるけど」
「あ、やっぱりあげるんだ~。頑張ってね! でも、葉月くん超人気だからチョコた~くさんもらうだろうね」
「……うん……」
柊くんがわたしとつきあってることはウワサで広まってるけど、人気は相変わらず。
柊くんのこと好きな子で、わたしよりかわいい子や魅力ある子なんてホントにたくさんいるから、正直言うと不安なんだ。