「葉月くん。わたし、今週そうじ当番で少し遅くなるんだけど……」


「そっか。じゃあ、先に病院に行ってるね」


わたしが言うと、葉月くんは教室を出て先に病院へ向かった。


「お見舞いに行くの、相変わらず続いてるんだね」


隣で葉月くんとの話を聞いてた沙苗が、笑顔で言った。


「でも、気をつけなよ。葉月くんファンの子たちって、仲いい女子をチェックしてるみたいだから」


「そうだよね」


葉月くんは校内のアイドル的存在で、芸能人並みの人気だ。


「だけど、わたし、葉月くんは紫苑のこと好きなんじゃないかなって思う」


「え!?」


思いがけない言葉に驚いて、わたしは思わず大きな声を出した。


「なんで?」


「だって、いつも紫苑のお姉さんのお見舞いにつきあってくれてるんでしょ? それに、紫苑とつきあってるってウワサになった時、全然否定しなかったし、椎名さんにイヤミ言われた時にかばってくれたじゃない? 紫苑に対してすごく優しいよね」