葉月くんと一緒に莉苑ちゃんのお見舞いに行くようになってから、約1ヶ月が過ぎた。


空が高くなって、秋らしい涼しい風が金木犀の甘い香りを運んでいる。


もうすっかり秋なんだ。


葉月くんとは、お姉ちゃんのお見舞いがきっかけで、さらによく話すようになった。


今では莉苑ちゃんと橘くんと3人で話す時間がすごく楽しみになっている。


「それでね、葉月くんって英語の発音がすごくキレイなんだよ~」


「2年間アメリカにいたから」


「え、そうだったの? いつ?」


「父親の仕事の関係で、小4から小6まで」


「じゃあ、帰国子女なんだ。だから発音もキレイなんだね。羨ましいな」


「それなら、紫苑、今度葉月くんに英語教えてもらえば?」


「あ、わかるところなら教えるよ」


「ホント? じゃあ今度教えてくれる?」


「うん」


「葉月くん、紫苑にはアルファベットの書き方から教えないとダメかもしれないよ?」