文化祭までいよいよあと一週間になって、学校全体がお祭りムードになってきた。


わたしのクラスも着々と準備が進んでいる。


わたしは放課後準備をしながら、週二回は莉苑ちゃんのお見舞いに行っている。


葉月くんも毎回一緒に来てくれている。


「もう一週間後には文化祭だね。こんな忙しい時期にごめんね」


「気にしないでよ。わたしが来たくて来てるんだから」


今日もわたしは葉月くんと一緒に莉苑ちゃんのお見舞いに来ている。


「紫苑、今日誕生日でしょ。おめでとう」


突然、莉苑ちゃんがそう言ってわたしに小さな箱を差し出した。


「プレゼント用意してくれたんだ……。ありがとう! 開けてもいい?」


「どうぞ」


箱を開けると、中にはハッピー・バースデーのメロディーが流れる、オルゴールつきのかわいい小物入れが入っていた。


「かわいい! ありがとう、莉苑ちゃん!」


「どういたしまして。でも、せっかくの誕生日なのに家でお祝いできなくてごめんね」


「その気持ちだけで充分だよ。ホントにありがとう」