「ねぇ、2年の葉月先輩って超かっこいいよね」


「だよね~ファンクラブとかあるらしいよ」


「マジで? あたし入ろうかなぁ~」


新学期が始まって1ヶ月。


廊下ですれ違った1年生の子たちから、そんな話が聞こえてきた。


予想はしていたけど、柊くんの人気ぶりは相変わらずだ。


「校内一モテ男子の彼女は大変だよねぇ」


隣にいた沙苗がしみじみと呟いた。


柊くんに彼女がいて、それがわたしだということは多くの人が知っている。


一時期のような嫌がらせは落ち着いたものの、今でもよく「なんであの子なの?」っていう目で見られる。


気にならないと言えばウソになるし、明らかな悪口に落ち込むこともあるけど。


「柊くんのこと、信じてるから」


柊くんは、本当にわたしのことを大切にしてくれているから。


そして、わたしは柊くんのことが大好きだから、堂々としていられる。