「行ってきます!」
お母さんと莉苑ちゃんに見送られながら、慌てて家を出る。
早く行かなくちゃ、柊くんを待たせちゃう!
走って待ち合わせの公園に向かう。
公園の入口の前まで行くと、柊くんの姿が見えた。
やっぱり待たせちゃったかな?
「柊くん、おはよう」
わたしが声をかけると、柊くんが振り向いた。
「おはよう、紫苑」
「ごめんね、遅くなって」
「そんなに待ってないから。大丈夫だよ」
笑顔でそう言ってくれる柊くん。
その笑顔に、いつも胸がキュンとする。
「桜、きれいだな」
公園に咲いてる満開の桜を見て、柊くんが呟いた。
「ほんと。ここでお花見できそうだね」
ふたりで見事に満開になった桜を見ていたら、少し強い風が吹いてきた。
一斉に桜の花びらが舞う。
まさに桜吹雪だ。
こんな風に、桜吹雪の中で好きな人と一緒にいるなんて夢みたい。