ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
「……あれ、柚原さん」
「……深月くん?」
「もう終礼から結構時間経ってるよね、どうしたの?」
「私、今日図書委員の当番だったの」
「ああ、なるほど」
放課後、図書室の当番が終わって、帰ろうと教室に鞄を取りに行っていたとき。
突然ガラッと扉が開いたかと思えば、驚きの人物が。
どうやら彼も委員会で、今帰ってきたそう。
教室に二人だけの声が響いて、正直少し緊張してる。だって相手は男子、加えてあの深月くんなのだから。
あんまり話したことがないし。実帆のおかげで、一方的によく知ってはいるけど。
「鞄は持ってたんだけど……そうそう、これ忘れちゃって」
「ああ…なるほど」
彼が"これ"と言って机の中から取り出したのは、今日調理実習でつくったお菓子。
だけど、鞄の中に入れようとしていた手がぴたりと止まった。



