醜いお姫様と淡い枝垂れ桜





部屋着から脱ぎ着しやすい服に着替え、軽く髪を整えて外に出る。



夜の作り出した暗闇から逃げるように、街灯の灯る道を選んで進む。



目的地に着くとすでに彼は建物の横で待っていた。



特に会話をするでもなく軽く目配せだけして中へ入っていく彼。



その背中を、頼りなさそうに光るホテル名の書かれた看板が照らしている。



彼のつけた見えない足跡を辿るように、少し大股で私もホテルの中へ入った。