「………いただきまーす」
いつも通り4時間目までぼーっとしながら授業を受けて、明日香と一緒にお昼ごはんを食べる。
うちの学校には食堂があるから、食券を買うために休み時間はゲキ混みになるらしい。
それがこの学校の名物…………みたいなものだ。
入学した時、お母さんが毎朝弁当を作ると言ってくれたけれど、迷惑をかけたくない私は毎朝早起きして弁当を作っている。
朝はちょっと苦手だけど、いい目覚ましになるから習慣化していて、気づけば高校2年生になっていた。
「せつ菜のお弁当、今日も美味しそうだね〜!」
「そうかな?簡単なものを詰めてるだけだけど」
私の机の上には、黒の弁当箱に詰められた色鮮やかなお弁当、明日香の机の上には、焼きそばのコッペパン。
1年生の時に「毎日コッペパン食べてて、よく飽きないね」って聞いてみたら、「だって美味しいし、具材とか色々詰められるし!」と笑顔で言われたので何も言えなくなっている。
「ん〜!焼きそばパン美味すぎ!考えた人天才じゃね!?」
「たしかに、おにぎりに焼きそばはちょっと合わないもんね」
「ダブル炭水化物とか幸せすぎ〜!!」
相変わらず元気だなぁ、明日香は。
陽気でおしゃべりな明日香は、クラスの中でも中心的人物。友達も多くて、先生からも信頼されている。
(ホント、私とは正反対だ)
「………そういえば、今日もサト先に注意されてたよね」
「あー、齋藤先生ね。あの人ちょっと苦手」
「なんかその気持ちわかる。ちょーーっと厳しくない?」
うんうんと首を縦に振る。
明るくて元気な性格の明日香と正反対に、私は授業中にうとうとしたり、真面目な生徒だとは思われていない。
実際、自分でも真面目な性格だとは思ってないけど。
だからあの日、話しかけに来てすごくビックリしたのを今でも覚えている。
「授業中に眠るような生徒=不良っぽい」という認識だったクラスメイトが多いせいで、夏休み明けになっても友達はできなかった。
誰にも話しかけられず、1人でご飯を食べていると、
『1人でご飯?そんなの美味しくないじゃん!一緒に食べよ!』
そう言ってくれた笑顔が、私の心を照らし続けている。
彼女にも、彼女と同じくらい陽気な友達がいたのに、わざわざその子達の誘いを断って、こんな私に時間を割いてくれている。
その思いやりを無駄にしたくないから、今まで関わってこなかったタイプの子と友達になってみようと思った。
一緒に下校したり出かけたりすると、意外と相性が良くて、気づけば親友と呼べるまで仲良くなっている。
手を合わせて、弁当箱のフタを閉める。
美味しかった〜。我ながら、ピーマンのかつお節炒めは美味しかった!また作ろうっと。
「ねぇねぇ、よかったら放課後に駅前のコーヒー屋行かない?新作のいちごフラペチーノ出てるらしいんだよね〜」
「うん、いいよ」
私がにっこりとほほ笑んでうなずくと、明日香は右手でガッツポーズ。
フラペチーノ。甘いものは好きな方だし、気になっていたからいい口実になった。
駅前のコーヒー屋というのは、普段はノートパソコンを凝視する人や勉強する人、放課後の学生など。
私にとっては苦手な人の集まる場所で、気になるものがあってもあまり近づけなかったから。
注文とかは明日香がしてくれるし、ホント助かってる。
「トイレ行ってくるね」と伝えて席を立つと、少し静かな廊下に出る。
洗面台の鏡を見ると、ちっぽけな顔をしてそちらを見ている“私”がいた。
「……………」
特に特別感のない、特徴のない目。ほのかに赤い唇。目元にはうっすらとしたクマのおまけ付き。
頬には、2、3年前の苦い思い出がしっかりと刻まれている。
肌荒れしているところを、ファンデーションで大げさにで隠そうとしているのがバレバレだ。
「ははっ…………」
頑張ってにっこり笑おうと、口元で笑みを作る。
だけど、鏡に貼り付けられた笑顔を見るのは私だって心苦しい。
すぐに笑顔は剥がれ落ちて、いつもの無表情に戻っていた。
________本当に、全く変われてないじゃん。
思わず手が出ていて、ドンッという鈍い音がする。
ここで思いっきり鏡を殴るとヒビが入って大変なことになるから、力を込めた右手をなんとか戻した。
………行かなきゃ。戻らなきゃ、明日香に心配かけちゃう。
それに、やっと仲良くなれた友達をまた失うのはすごく怖い。
だからなんとしてでも、過去の私は知られるわけにはいかないのだ。
大丈夫、大丈夫と言い聞かせながら、私は両手をぎゅっと握りしめた。
いつも通り4時間目までぼーっとしながら授業を受けて、明日香と一緒にお昼ごはんを食べる。
うちの学校には食堂があるから、食券を買うために休み時間はゲキ混みになるらしい。
それがこの学校の名物…………みたいなものだ。
入学した時、お母さんが毎朝弁当を作ると言ってくれたけれど、迷惑をかけたくない私は毎朝早起きして弁当を作っている。
朝はちょっと苦手だけど、いい目覚ましになるから習慣化していて、気づけば高校2年生になっていた。
「せつ菜のお弁当、今日も美味しそうだね〜!」
「そうかな?簡単なものを詰めてるだけだけど」
私の机の上には、黒の弁当箱に詰められた色鮮やかなお弁当、明日香の机の上には、焼きそばのコッペパン。
1年生の時に「毎日コッペパン食べてて、よく飽きないね」って聞いてみたら、「だって美味しいし、具材とか色々詰められるし!」と笑顔で言われたので何も言えなくなっている。
「ん〜!焼きそばパン美味すぎ!考えた人天才じゃね!?」
「たしかに、おにぎりに焼きそばはちょっと合わないもんね」
「ダブル炭水化物とか幸せすぎ〜!!」
相変わらず元気だなぁ、明日香は。
陽気でおしゃべりな明日香は、クラスの中でも中心的人物。友達も多くて、先生からも信頼されている。
(ホント、私とは正反対だ)
「………そういえば、今日もサト先に注意されてたよね」
「あー、齋藤先生ね。あの人ちょっと苦手」
「なんかその気持ちわかる。ちょーーっと厳しくない?」
うんうんと首を縦に振る。
明るくて元気な性格の明日香と正反対に、私は授業中にうとうとしたり、真面目な生徒だとは思われていない。
実際、自分でも真面目な性格だとは思ってないけど。
だからあの日、話しかけに来てすごくビックリしたのを今でも覚えている。
「授業中に眠るような生徒=不良っぽい」という認識だったクラスメイトが多いせいで、夏休み明けになっても友達はできなかった。
誰にも話しかけられず、1人でご飯を食べていると、
『1人でご飯?そんなの美味しくないじゃん!一緒に食べよ!』
そう言ってくれた笑顔が、私の心を照らし続けている。
彼女にも、彼女と同じくらい陽気な友達がいたのに、わざわざその子達の誘いを断って、こんな私に時間を割いてくれている。
その思いやりを無駄にしたくないから、今まで関わってこなかったタイプの子と友達になってみようと思った。
一緒に下校したり出かけたりすると、意外と相性が良くて、気づけば親友と呼べるまで仲良くなっている。
手を合わせて、弁当箱のフタを閉める。
美味しかった〜。我ながら、ピーマンのかつお節炒めは美味しかった!また作ろうっと。
「ねぇねぇ、よかったら放課後に駅前のコーヒー屋行かない?新作のいちごフラペチーノ出てるらしいんだよね〜」
「うん、いいよ」
私がにっこりとほほ笑んでうなずくと、明日香は右手でガッツポーズ。
フラペチーノ。甘いものは好きな方だし、気になっていたからいい口実になった。
駅前のコーヒー屋というのは、普段はノートパソコンを凝視する人や勉強する人、放課後の学生など。
私にとっては苦手な人の集まる場所で、気になるものがあってもあまり近づけなかったから。
注文とかは明日香がしてくれるし、ホント助かってる。
「トイレ行ってくるね」と伝えて席を立つと、少し静かな廊下に出る。
洗面台の鏡を見ると、ちっぽけな顔をしてそちらを見ている“私”がいた。
「……………」
特に特別感のない、特徴のない目。ほのかに赤い唇。目元にはうっすらとしたクマのおまけ付き。
頬には、2、3年前の苦い思い出がしっかりと刻まれている。
肌荒れしているところを、ファンデーションで大げさにで隠そうとしているのがバレバレだ。
「ははっ…………」
頑張ってにっこり笑おうと、口元で笑みを作る。
だけど、鏡に貼り付けられた笑顔を見るのは私だって心苦しい。
すぐに笑顔は剥がれ落ちて、いつもの無表情に戻っていた。
________本当に、全く変われてないじゃん。
思わず手が出ていて、ドンッという鈍い音がする。
ここで思いっきり鏡を殴るとヒビが入って大変なことになるから、力を込めた右手をなんとか戻した。
………行かなきゃ。戻らなきゃ、明日香に心配かけちゃう。
それに、やっと仲良くなれた友達をまた失うのはすごく怖い。
だからなんとしてでも、過去の私は知られるわけにはいかないのだ。
大丈夫、大丈夫と言い聞かせながら、私は両手をぎゅっと握りしめた。
