濁った僕を抱きしめて

その声色は俺が初めて聞いた物だった。


「……うん。心配かけないようにする」
「約束ですよ?」
「わかった、約束」


子供じみた指切りをしてから、璃恋は床に落とされていたレジ袋を手に取った。
それから大声を上げる。


「ちょっと、お肉がひどいことになってるんですけど!」
「だから言ったじゃん、豚肉がって」
「もー、また買ってこなきゃじゃないですか。それとも今日のカレーはお肉抜きにしますか?」
「それでもいいけど。……あー、やっぱ嫌かも。カレーは肉あってのものだろ」
「じゃあ今から買いに行きましょ。また出るの面倒臭いですか?」
「いや全然」


ふたりで靴を履いて、ドアに鍵をかける。
並んで、手を繋げば完璧だ。


夕焼けに伸びた俺たちの影が、寄り添うようにして並んでいた。