濁った僕を抱きしめて

「わたしはちゃんといますから、ゆっくり帰ってきてください。ほら、ご飯がぐちゃぐちゃになったじゃないですか」


分かっているけれど、璃恋を失うかもしれないという不安には抗えない。


走っていると、急に目の前に現れた人とぶつかった。
その反射で尻餅をつく。


「すいません」


それだけ吐き捨てて、立ち去った。


ーーはずだった。


目の前の男の人は俺の腕を掴んできて、空いている方の手で俺の腹に拳を入れようとしてくる。


間一髪でそれを避け、男の腕を掴んで捻った。


小さな呻き声が聞こえる。
俺はにやりと口角を上げた。


あいにく銃とナイフは持っていない。
さっき手入れをしたっきりそのままだ。


相手はそれを知っていたのだろうか。
そんなわけはないか。


俺の手からレジ袋が抜けて地面に落ちる。


何かが潰れるような音がする。
あれほど璃恋に言われていたのに、またダメにしたかもしれない。