「……分かった」

「いいんですか?」

「駄目って言っても聞かないんでしょ?」

「はい、聞かないです」

「なんだそれ。でも、一個だけ条件がある」


条件?何だろうと不思議に思っていると、拓海くんが口を開いた。


「もし、誰かに何でこんなことしたのって聞かれたら、全部俺のせいにして。全部」


拓海くんらしいお願いだった。
いざとなったらすべて俺のせいにしていい。
俺のことは、どうでもいいから。


そう思っているんだろう。


そんな優しさが切なくて、でも温かくて、拓海くんを抱きしめたくなった。


「うわっ、何、どうした」


ぎゅっと拓海くんに抱きつく。
拓海くんは少し嫌そうな声を出したけれど、表情はとても明るかった。


わたしの頭に大きな手が触れる。


その手はどこまでもわたしを包み込んでくれそうだった。