濁った僕を抱きしめて

繋いでいた手をほどいた。
璃恋はまた手を繋ごうとしているけど、俺はもうその手を取る気がない。


俺はもう無理だから、璃恋がこれを持って逃げて。
目でそう伝えると、璃恋はぼろぼろと涙をこぼしながら走り出していった。


俺は身体から力が抜けて、その場に倒れ込む。


警察がすぐに俺に駆け寄ってきて、俺の身体を掴んだ。
痛いんだよ、やめろよ。
こちとら足に弾丸を食らって、まだ肉に埋まったままなんだ。


最期くらい、優しくしてくれても良いじゃないか。


どんどん視界が白濁としていく。


ああ、俺はここで終わるのか。


予想していた何倍も楽しい人生だった。
璃恋と出会って、出会わなければ出来ないような経験をいっぱいして。


知らなかった感情にも出会えて……


「……ありがとう、璃恋……」


身体が冷たくなっていくのを感じながら、俺は瞼を閉じた。


瞼の裏側に、璃恋の姿が見えた。