濁った僕を抱きしめて

「うあっ」と叫び声を上げた。
久しぶりに食らった弾丸はやっぱり痛い。


「拓海くん!」


さっきと同じ速度で走れなくなった俺を璃恋がかかえるようにして走らせてくれる。
自分より十センチ以上背が高い男の身体を抱えて走るのは大変だろう。


「……璃恋」
「拓海くん、まだ諦めないでください!あと数人ですから」


あと数人、って具体的には何人なんだろう。
ここにいるのは数人だとしても、後に何人控えているか分からない。


手負いの俺と、銃の扱いに慣れていない璃恋。
だとしたらどうなるかはもう分かっている。


血に汚れたナイフを璃恋に差し出す。
璃恋はそれを受け取らず、俺に突き返した。


「受け取らないですよ、拓海くんが死ぬまで持っててください」
「もう死ぬから渡してるんだよ」


璃恋が叫びながら引き金を引いた。
俺と離れるのが嫌らしい。


俺だって嫌だよ。
こんな汚いところで死にたくない。