濁った僕を抱きしめて

どこも撃たれていないし血は出ていない。
璃恋だって撃たれていない。


璃恋の手に握られたものを見てはっと息をのんだ。


璃恋が手に持った銃からは煙が出ていて、弾丸を放ったことを教えていた。
右の方から呻き声と男が倒れるような声がする。


「璃恋、なんで」
「今は黙ってください」


そう言うと後ろを向いて追ってきていた警察官に向かって引き金を引いた。
男にはもう見向きもせず、次の標的に狙いを定めている。


璃恋は今まであまり手を汚してこなかった。
と言うより俺が汚させなかった。


殺しをしているときも一発二発は打ったとしても最後はやらせない。
璃恋に罪を着せたくなかった。


俺からこの道に引きずり込んだのに手は汚させたくないだなんて、自分勝手すぎるとも思ったけど、璃恋は何にも言ってこないから良いかと思った。


それに、璃恋は最初引き金を引くことすらためらっていた。
誰かから恨みを買って依頼されたとはいえ、目の前に現れる人間は善人のように見える。