濁った僕を抱きしめて

璃恋も勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。


どれだけ俺達はここにいたと思ってるんだ。
何日も通してここにいた訳じゃないけれど、毎日数十分の蓄積はかなりの大きさとなる。


警察はきっと極悪非道な手を使ってくる。


逃げてる者がそんなことを言うかと思われそうだが、銃とナイフしか持ってないふたりの人間に数十人の追手を送り込んでいる。


よっぽど暇なのかと思ってしまったくらいだ。


足音も何も聞こえてこない。


今俺達は路地裏の角にいる。
挟み撃ちされてしまえば終わりだけど、一気に二人以上が襲ってくるんだとしたら、足音や呼吸音は絶対に消せない。


璃恋も耳を澄ましている。
何も聞こえないこの静寂が逆に気持ち悪さを産む。


人々の喧騒とか生活音とか少しは聞こえてもいいはずなのに、まるで俺達だけがこの世界にいるような感覚がする。


やがてずり、と動く足音が聞こえた。
璃恋には動かないよう指図をし、俺は息を入れると素早く動いた。