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人ひとり助けたところで、真っ当な人生を生きれるとは思っていない。
なのに、俺はどうしてあの時彼女に手を差し伸べたのだろうか。
いつもだったら素通りしたはずだ。
よく見る家出少女だと割り切って、深く入り込まなかったはずなのに。
彼女の叫びが全身から伝わってくる気がした。
誰も気づいていない、助けてという必死の叫び。
言葉にしていたわけでは無い。
身体で表現しているわけでもなかった。
でも、俺には見えた。
声をかけた瞬間の彼女は、ひどく怯えているようだった。
こんな人がわたしを救ってくれるのか。
そういった色が瞳に入り交じっていた。
唇に触れたとき、彼女の瞳が揺れた。
今まで現れていなかった表情が見れて嬉しくなる。
傘を持たせて、腕を引いて歩いた。
後ろからずっと足跡が聞こえてくる。
どっかの下っ端でもついてきてんだろ。


