濁った僕を抱きしめて

ーー飛んでいけそうな気がする。


頭を振ってその考えを消し去ったけど、璃恋と出会っていない時の俺ならその考えに身を任せて本当に飛んでいただろう。


美しい青空が見える訳でもない。


かと言って沢山の星が輝くような夜空でもない。


ありふれたような、特別感がないようなものが俺にとっては丁度良くて、それに少しの不安も交わることでよりワクワクを産んだのか。


璃恋の手が俺の手をぎゅっと掴んだ。


さっき家で腕を掴まれた時も思ったことがある。
きっと俺達は、お互いに縋りながら生きているんだ。


もう死ぬ寸前まで来ていて、ただこの世に引き留める存在としてお互いがある。


俺だって璃恋がいなきゃ死んでいた。
璃恋は俺がいなくても生きていられたような気がするけど。


お互いをギリギリの段階で留めているロープのような存在なのだと。


やがてそのロープだって朽ちる時が来る。
切れないロープなんて無いし、劣化しないロープなんてもっと無い。